著者は戦後直ぐにプルーストの影響を色濃く示している「死の影の下に」で小説家としての方向を明解にして、その集大成として「四季」を書くが評論の分野で特にその才能を遺憾なく発揮し、平野謙と並んで私の最も愛読している作家である。
「頼山陽とその時代」は「蠣崎破響の生涯」「木村蒹霞堂のサロン」と並んで史伝三部作とも云うべきもので、小説家としての実力をよく表わし、森鴎外の史伝3部作「渋江抽斎」「伊沢蘭軒」「北条霞亭」と比すべき作品と思う。二作が実に面白かったので読むのが楽しみである。
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