赤川次郎「西部劇における人生の汚点」より抜粋
この原稿を書いている四月半ば、ドイツの名門オーケストラが来日公演を行っている。私も数日後に聴きに行くことになっているのだが、知人の音楽家がそのオーケストラの旧知のメンバーと話したところ、オーケストラのメンバーの内、実に40人が「フクシマ」の原発事故を理由に来日を拒んだそうで、三分の一以上がエキストラだという事だった。-(途中省略)-そういう事実が全く報道されていないと言うのも問題である。
公演のスポンサーや電力会社への遠慮がないとはとてもいえないだろう。
それにしても、ヨーロッパの人々から見れば、福島第一原発が今も汚染水漏れを続け、収束、廃炉にする見通しさえ立たない状況で「アベノミックス」だの「オリンピック招致」だのと浮かれている日本人は到底理解しがたい存在だろう。
チェルノブイリから四世紀半が過ぎて、今もウクライナでは子供のがんの問題に取り組んでいる。日本と比べてはるかに貧しいウクライナでも、子供たちこそ国の未来がかかっているという認識の下で、根気強い調査や対策が続いている。ーーーと述べている。
一方日本の政府は自民党政調会長の発言として「原発事故によって死亡者が出ている状況ではない」とあり、政府としてこの発言を許容している。
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