現代は塑像とは粘土で造った彫刻の原型を意味するが乾燥すると収縮してひび割れを起こしやすく、やがて壊れてしまうことが多いが天平時代の塑像は土で作り、それだけで1200年を経た今日でも割れを生ずることなく今日に至っているのは、当初から土が吟味され工法に工夫が凝らされていたからに外ならない。
7~8世紀唐代に盛んに塑像がつくられ、その技法が日本に伝えられて天平彫刻の名品が多くつくられた。その代表的作品のなかの一つが東大寺三月堂の日光、月光菩薩で大きな唐風の宝髻を結い上げた、胸高に花型の飾りや襟の縁取り、帯などによる装飾をつけ腰紐は膝の前で飾り結びをしてたらしている。総じて高貴な女性を思わせるつくりになっており、巨大な群像9体に囲まれて本尊の両脇につつましく立っている。塑像の名品である。
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