9月8日松戸市民活動サポートセンターにて講演13時30分より1時間、講師は弁護士の福富美穂子氏による「みんなで学び考える憲法」で現憲法と自民党の改正案を条文を対比しての内容であった。
前文に規定する、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないように、権力者から国民を守る目的を明確にしている現憲法に対して改定案は国民が守るべきものとはっきり考え方を異にしており、また天皇を元主として戴く、国家と規定し、国旗、国歌も定めて、思想、信条自由を真っ向から否定している。
9条の2では国防軍は法律の定めるところにより国際社会の平和と安全を確保する為に国際的に協調して活動し、公の秩序を維持し、又は国民の生活、若しくは自由を守るための活動を行うことができるとしている。この規定は防衛の目的を拡大し、いかなる武力行使も可能にすることであり、後段は戦前の治安維持法を思わせる、言論、結社、及び社会的活動を全面的に敵視したもので、時の政府に対する国民の反対を圧殺する目的を明確にしている。
18条の現憲法にある何人も「いかなる奴隷的な拘束も受けない」を改定案では全面削除し「何人もその意に反すると否とに拘らず社会的又経済的関係において身体を拘束されない」として国家権力の要請があれば徴兵も可とする含みを挿入している。
21条では9条の2の表記に重ねて「集会、結社、及び言論、出版その他一切の表現の自由はこれを保障する」との現憲法に対し改定案では追加して公益、及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、それを目的とした結社を認められないとして、事実上の国民の権利を奪ってしまう決意を再度表明している。
66条に内閣総理大臣、及びその他の国務大臣は文民でなければならないと過去現在
の軍人の内閣への参入を否定する現憲法に対し改定案では「現役の軍人であってはならない」として、退役しさえすれば軍人でもよいと内閣への軍人△を肯定している。
99条は「天皇、摂政及び国務大臣、国会議員、裁判所その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」の現憲法に対し改定案では102条で全ての国民はこの憲法を尊重しなければならないとして国民の権利を憲法でしばる立場を明記しており、しかも現憲法にある天皇を意図的にはずしている。
現憲法の精神が時の権力者によって自由に変えられることのないよう、国民がその犠牲になることのないように定めたものであるが、改定案はこれを否定している。
新設する98条は緊急事態の宣言を盛り込んでいる。。緊急事態の宣言が発せられれば、一切の国民の権利は奪われて国家に全面的に服従することが求められるのである。
自民党の改定案の目的は現憲法の精神を全否定し、一切の国民の権利を剥奪し権力者の思うがままの国づくりを目指したもので、今でも憲法を様々に解釈して骨抜きを拡大してきたが、この改定により失われてゆく国民主権を根こそぎ奪うことの決意表明とも受けとれるものである。
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