この演説の性格であるが、アメリカからの依頼によるものかどうかがある。
なぜならば、アメリカ国民をいかに喜ばすかの点に細心の注意を払い、全文にその観点が貫かれているからである。先ず自身の対アメリカとの個人的経験を語り、親密さとアメリカ社会を様々に礼讃し、次に第2次大戦に触れ「熾烈に戦い合った敵は、心の紐帯が結ぶ友になりました」と無謀な戦争によって数千万人の人々が犠牲になったことを無視して、まるでボクシングで死闘を繰り広げた両者が試合の後、肩を抱き合ってお互いの健闘を讃えあうような、ロマンチック溢れる物語に仕立て上げ美化している。既に大勢が決したにも拘らずに2発の原爆を投下したアメリカの暴挙に触れることもない。
TPPの成立による日本農業への壊滅的打撃にどう対処するのかの処方箋も一切示すこともない。この数年に示されるアメリカの軍事予算及び軍人の減少にみられる弱体化の、穴
埋めを積極的に買って出る決意を語り、国会審議にかけることもせずに「必要な法案の成立を、この夏までに必ず実現します」と日本国よりもアメリカ重視の姿勢を表明、対中国
、対韓国との関係に一切触れることのない、まさに対米従属のナショナリズムの宣言であると言う以外にないものである。
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