これが最後の稀勢の里

万全の状態でない3横綱と好条件の中、初優勝の呼び声が高かった稀勢の里がいつも通

り期待を裏切ってくれた。

 

場所前の稽古では強さを見せていたが、確かに稽古場では、まともに当たりあって、

左差しを果たし、体力と力比べで実力を磨く場でもあり、実力は横綱級かもしれない。
しかし本場所では白鵬の語ったとおりに「相撲は力比べではない」為に充分の左差しを

相手は許してはくれないし、よしんば左差しが成功しても右上手は決して取らせてくれ

ない。
その為力比べで劣る、自分より大きい相手には分が悪い、又左差しに成功しても、上手

が取れない為に相手の動きを止められずに、左差しを振りほどかれて突進力のある相手

又は動きの早い相手についていかれずに叩き、引きの変化、一気の押しに対応出来ない。 

又自分の型を持つ相手や、相撲のうまい相手にも苦戦する。

 

今の相撲では10~11勝が妥当なところであろう。
もともと腰高で膝、足首も曲がっておらず立ち腰のまゝの相撲であるが、最近は前にも

横にも脆さが目立ち、ねばりが失われて来た。
琴奨菊のように左差し、右で抱えて、かぶり寄りの型をもった力士は体調が万全であれ

ば優勝もあるが、型のない稀勢の里にその可能性は極めて乏しいと言わざるを得ない。


様々な弱点をもった稀勢の里に常勝の手段はあるのか、考えてみよう。
先ず今の胸を出しての立合いは止めるべきで、左足から踏み込んで右の前褌を取る事に

専心する。
取ったら引きつけて、相手の動きを封ずる。そのあとは左差しを狙うが、差せなくても

良い。元々左脇は堅いのだから左から強烈な押つっけで前に出る。

右前褌の引きつけと、左押つっけで相手との身体は密着し、動かれることも変化される

ことも、叩かれたりすることもなくなり、自分の体力も腕力も充分にいかすことが出来る。大きな相手には右前褌を握って頭を付けるのが良い。

 

ただ漠然と稽古をいくらやっても勝利に繋がらないのを知るべきである。

白鵬の強さは左前褌を取る早さにあることを参考にすべきだ。