DVDで「不良少女モニカ」をみる
1952年 監督 インゲマル・ベルイマン。
ストックホルムの瀬戸物店で働く19歳のハリーと八百屋で働く17歳のモニカ。ハリー
は子供の頃母を亡くし父と2人で淋しく暮らし、モニカは子沢山の貧乏と大酒飲みの父
親のもと育つ。
仕事に熱が入らないハリーは首になり、街で評判の不良少女モニカは父親と衝突して家出、2人は入院したハリーの父親のモーターボートに食料を積み込んで初夏の海へ乗り
出し、夢のようなひと夏を過ごすが、モニカは妊娠、町に戻った2人は結婚し子供も生
まれる。
ハリーは技師になる為に工場勤務の傍ら勉強に励むが、モニカは現実の貧乏暮らしと、
子育ての煩わしさ、単調な生活に倦き倦きで、昔の不良仲間の男友達と遊び歩くように
なり、モニカの不貞を目撃したハリーとの間はギクシャクとして離婚する事となり、
モニカは子供を捨てゝ家を出て行き家庭は崩壊。アパートを引き払ったハリーは子供を
抱えて街に呆然と佇むが脳裏に去来するのはひと夏の青春の耀きに満ちたモニカの姿であった。
世間から不良として見られていた非行少女が純情な若者と愛し合って、やがて妊娠する。
彼女は幸福になりたいと願いつゝも、過去の不良の本性に戻って、真面目に働くハリー
を罵り、不倫をしたあげく家を出てしまうのである。
ベルイマンは青春のみじめさ、残酷さをモニカの不良ゆえの結果としての不幸として描
くのではなく、人間の本来持っているものとして描き出しているのである。
モニカはある瞬間には美しく、又ある瞬間には少女がまるで中年女のようにえげつなく
みえる。モニカも過去の不良生活から抜け出そうとしても、その気持ちを持続させるこ
とができない。
人間が持っている本質を本人の努力によってだけでは容易に解決しないことをベルイマ
ンは描きたかったのであろうか。
それは今日に至るも変らない普遍性を持っている。この作品は後のヌーベェル・ヴァークの流れに強い影響を与えた。
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