先ず、国際法、憲法の原則の概要から始まり、特に憲法13条を根拠とする、個別的自衛権を合憲とする説が大勢と
なっていること。
それは13条が日本政府に対し国民の安全を保護する義務を課しているからである。
しかし集団的自衛権を可能とする条文は憲法上に存在していない。
憲法65条、75条による政府の権限は行政権、外交権は定めているが、軍事権は認め
ていない。 軍隊を持つ諸国は、憲法上にその行使について詳細に明記しているが、
日本にはその条文は一切存在していない。
憲法9条の「国際紛争を解決する手段としては武力の行使は永久にこれを放棄する」と
定めており憲法73条には、内閣の行いうる行為について7ヶ条記しているが、外国との
交戦権は当然のことゝしないのである。
安保法制の裁決の最終段階で元気、改革、次世代の3党の提案する付帯決議が閣議決定
された。その中に存立危機事態について「国民に我国が武力攻撃を受けた場合と同様な
深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況」であることに鑑み、我国に対する外部か
らの武力攻撃が発生する明白な危険など我国に戦禍が及ぶ蓋然性、国民がこうむることゝなる犠牲の深刻性などから判断することに十分留意しつゝ、これを行うこと、存立危機
事態と武力攻撃等が重ならない場合は極めて例外的であると、盛り込まれた。これは安
保法制に一定の縛りを掛けたものと評価できるとしている。
今回の講演は純粋に憲法上からみた安保法制を解明したもので、この法案が示す安倍内
閣の思惑や方向、今後の見通し等に重点を置いたものではない。又これを「廃棄とすべき」の運動論でもない立場から、憲法上のどの部分とどう乖離した、法律的にも全く整
合性のないものかを改めて、私達に示したものであり、大いに力付けられた。
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