三越本店6階での刻字展である。
2004年8月に同会場での個展以来の拝見となった。前回に比べて一層装飾的となって華やかさを増していた。
小品になる程、極彩色の度合いが強くなり、色で存在感を強調していた。
私の考えていて、製作しようとしている刻字とは 1にあくまで字の美しさを追求し、遊び半分の字は書かない。
2、鋭利なノミで彫る訳であり、筆字とは全く異なる分野であることを自覚し、ノミの特性を生かして出来る又巾の拡いノミを使用し直線の美しさを生かす。素材の木材に対してはノミを垂直に打ち込み、双方相俟って厳しい線を出す事に心がけること。
3、木材は素材の美しさを追求し、目のつまった桂を使用する。堅い桜、石櫧(いちいがし)も良い。
いずれも木材そのものが美しく、細部に亘ってノミを使用できる。陽刻の地紋の削も重要で作品の美しさに大きく後見する。
彫り終って作品を過マンガン酸カリで焼き又はカシューのクリアで塗り重ねたあと、
ウズクリで磨く。素材はみるみるその美しさを現わし見事に生まれ変わるのだ。
出来る丈、金・銀箔は使用せずに金・銀泥を使用。塗ったあと猪の牙で磨けば、実に上品で底ビカリする美しさが得られる。
安達氏の刻字は作品としては魅力に満ちてはいるが、私の定義する刻字感とは相容れないのである。
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