その7.フェリチョ・タリアヴィーニ
1913年8月生れ。1942年「セヴィリアの理髪師」のアルマヴィーヴァ伯爵でデビュ
ー、ベニャミーノ・ジーリの後継者と目されたベルカントのスペシャリストである。
無類の親日家であり、1954年5月来日、翌年10月愛妻で歌手のピア・タッシナーリ
を連れて来日2人だけの舞台で共演している。
1959年に来日し、「愛の妙薬」ネモリーノが歌う「人知れぬ涙」を歌っている。
軽妙なベルカントの甘い歌声で「愛の妙薬」のネモリーノ役はまさに嵌り役で、彼
以外にこの役は考えられないほどである。これでもかと美声のかぎりを尽して歌う
その歌はイタリアオペラそのものと思える。