国立新美術館でルーブル美術館展みる

目玉作品となるヴェロネーゼの「美しきナーニ」を始めとして110点の展示である。
アングル、ボッティチェリ、レンブラント、ベラスケスも1点でづつあったが、いづれ
も精彩を欠いていて、工房で作られたのではと疑問を持った。

さてベラスケスの肖像画は工房で作られたものであるが、ベラスケスの特徴ある色彩の調和とも云うべき、その作品の肖像画の人物を描く範疇を超えるような色彩の美しさは展示作品には見えない。
レンブラントの絵に表わされる絵画を通じてその人物の人生の苦しさ等がにじみ出ていて、それがレンブラントの魅力となっているが、展示された聖母子親子像には見るものを捉えて話さない雰囲気を感ずる事が出来なかった。

 

かって小学生の頃日本に始めて来たルーブル展は東京国立博物館を5列で取り巻き、5時間並んでの入場だった。中でもルーベンスの「王女メディア」の大作に圧倒された。

ギリシャのイオールコスの王子イアーソーンは伯父に簒奪された王位の返還の条件として黒海の地コルキスから「黄金の羊皮」を奪ってくることを要求される。
イアーソーンはコルキスに赴き、コルキス王女メディアの愛の協力もと「金の羊皮」の奪取に成功。メディアを連れてコルキス脱出を図る。船で逃亡を図るイアーソーン、メディアを父王が船で追うがそれを阻止せんとしたメディアは同行した弟をバラバラに切り刻んで海に投げ、これを拾う父王の手間どる間に逃げるのである。
イアーソーンは勝気で嫉妬深いメディアに嫌気がさして裏切るのだが、その復讐の為にメディアはイアーソーンとの間の子供を殺害するのである。
ルーベンスはそれを200号(?)程の絵に描いている。メディアが今まさに子供を短刀をもって殺害せんとする場面である。

そのあまりの迫力と美しさにしばし呆然として絵の前にたゝずんでいた事を今更のように思い出す。小学生ながら、その物語を何かで調べた記憶が残っているのだ。


またオランダの国立美術館でみたレンブラントの「夜警」での感激は今回にはなかった。