ニューイヤー2019 宮殿祝賀コンサート

東京文化会館大ホールにて開催

指揮はイタリア生れのサンドロ・クレウレーロ。1990年彼が設立したウインナー・ワルツ・オーケストラを率いての20回目の来日公演である。私が足を運ぶのはこれが4回目で例年通りのプログラムであった。

スッペの「軽騎兵」序曲で始まり、トリッケ・トラッチポルカ「山賊のギャロップ」「皇帝円舞曲」「こうもり序曲」ポルカ「雷鳴と稲妻」等、シュトラウスの曲が続いてワルツ「美しき青きドナウ」で締め括った。

アンコールに応えての3曲目、ヴァイオリンのシャンドル・ヤヴォルカイとチェロのアダム・セヴォルカイの兄弟が、舞台の前に出て、ハイドンのパッサカリアの演奏で、それまでの軽い曲続きでややマンネリ化した聴衆の空気を引き締めたとみるまに終盤に至って突然テクニックの極限ともみられる。超絶技法を駆使した演奏が始まり最後はチェロとバイオリンの掛け合いとなり、聴衆を驚かせかつ魅了した。このアンコール曲を聴くだけで、コンサートホールに足を運んだ甲斐があったと云うべきであった。

尚スロヴァキア出身のパトリシア・ソロトウルコヴァのソプラノはやや声が太すぎて透明感に欠けたが声量はあり、舞台栄えのスタイルはまことにオペラ向きで、さだめしカルメンを歌わせたらまさにピッタリと思わせた。