都知事 小池百合子氏の選択について   2024年10月15日

 

2024年6月23日付け東京新聞に法政大学名誉教授 前総長の田中優子氏の「拝啓小池百合子様」としての記事が掲載されている。

 

. 6/7の記者会見で関東大震災への追悼文の事を問われ、あなたは東京大空襲の話に入れ替えて答えました。私はそこにごまかしを見てしまいました。

朝鮮人の虐殺があったことは周知の事実です。事の正否ではなくうそをつく人は政治家として相応しくない」

 

2. 明治神宮外苑の民間事業者による再開発事業で、日本イコモスはこの2年半で15回以上の意見者、提言、要請、調査資料、代替案、警告を東京都に出した。都が認可した神宮外苑のまちづくり計画が、樹木伐採をともなう、超高層ビル建設計画であることが明らかになったからでした。東京はロンドン、パリ、ニューヨーク等と比較して、その一人当たりの緑地保有率が極めて低く、公園面積が狭いことはご存じですね。更に狭くして高層ビルを建て続ける事にいったいどのような未来があるのでしょうか?と問うている。

 

さて既に1913年1月(大正2年)に永井荷風が「浮世絵の鑑賞」でこんな文章を述べている。

「この数年来市政改正と称する土木工事が何ら愛惜の念もなく見付けと呼び馴れし旧都の古城門を取払ひなほ勢いに乗じてその周囲に繁茂せる古松を伐採するを見、日本人の歴史に対する精神の有無を疑はざるを得ざりき。泰西の都市にありては 一層の古木一宇の堂舎といえども、なほ民族過去の光栄と表現すべき貴重なる宝物として尊敬せらるるは、既に笑多漫遊者の見知する処ならずや。然るにわが国において歴史の尊重は唯だ保守頑冥の徒が功利的口実の便宜となるのみにして、一般の国民に対してはかへって学芸の進歩と知識の開発に多大の妨害をなすに過ぎず。これらは実に僅少なる1、2の例証のみ。余は甚だしく憤りき、また悲しみき。然れども幸いにしてこの悲憤と絶望とはやがて余をして日本人古来の遺伝性たる諦めの無差別観に入らしむる階梯となりぬ。見ずや、上野の老杉は黙々として語らず訴えず、独りおのれの命数を知り従容として枯死し行けり。無情の草木遙かに有情の人に優るところなからずや」と記述している。

 

100年も前に日本人の歴史に対する精神の有無を疑わざるを得ないと憤嘆させているのに性懲りもなく民族過去の貴重な宝物を幣履の如く破壊しても恬として恥じない都知事小池百合子氏には唯々呆れるばかりである。