① WBC フライ級チャンピオン ローマン・ゴンザレス (ニカラグア)27歳
ニックネームはエル・チョコラ・ティースト(小さいチョコレート)。ミニマム ライトフライ級と会わせて3階級制覇している。
会場 プエルトリコ サンファン・ホセ・ミゲル・アグレット・コロシアム.
WBO S・フェザー級タイトル・マッチ。チャンピオン オルランド・サリド(メキシコ)34歳、戦跡57戦42勝29KO 12敗2分1無効試合。
挑戦者ローマン・マルチネス(プエルトリコ)32歳、戦跡32戦28勝17KO 2敗2分、ニックネームはロッキー、
2013年11月にミゲール・ガルシアに8R 8KOに敗れてWBOタイトルを失っており、3度目の王者奪還を目指す。
1R マルチネス、サリドの前進を距離をとって、左ジャブを突き応戦。
2R サリド、接近戦を狙って前進、マルチネス一転して真っ向から打ち合う。
3R マルチネス左ジャブからの右ストレートでサリド ダウン。
4R サリド劣勢を取り返すべく左右を振って頭を下げ接近戦となる。ペースはサリド。
5R サリドのぺースが続くが、突然のマルチネスの右ストレートの打ち下しがヒット、サリド2度目のダウン。
6~12Rはサリドが頭を低くして左右フック、アッパーで接近戦を挑み、マルチネスは距離をとってこれを往なし、ラウンドの後半に攻撃を集中するパターンが続き、終了。
判定は114:111、115:110、116:109でマルチネスの勝利となった。数は少ないがパンチの精度が、効果もマルチネスに高く、サリドの接近戦も2度のダウンで成功せず、不屈の闘志で最後まで頑張ったがタイトルを失う。
2011年4月、当時30戦全勝28KOのプエルトリコの英雄ファン・マヌエル・ロペスを戦前のオッズ12:1のところ大番狂わせで8R KOに下し、再戦でも10R KOに下し、一躍スターダムにのし上がった遅咲きの雑草魂のボクサーで人気も高かった。
最近の試合はダウンすることが多く、勝っても苦しい場合が多々あった。今回の試合も、あのエネルギーと力強さにかげりが見られた。
会場 アメリカ、ニューヨーク マディソン・スクェア・ガーデン (2015年6月1日)
3団体ヘビー級タイトルマッチ。チャンピオン ウラジミール・クリチコ(ウクライナ)39歳。戦跡66戦63勝53KO
3敗。チャンピオンとして9年間在位、ニックネームはスティール・ハンマー。通算11年間負けなし。アトランタ五輪のS・ヘビー級金メダリストでもあり、兄のビタリもチャンピオンに長く君臨し、兄弟でヘビー級4団体も独占していた。挑戦者ブライアント・ジェニングス(米)30歳、IBF、WBO4位戦跡19戦全勝0KO、ニックネームはバイバイ。
1R~12Rまでクリチコ距離を詰め左ジャブを効果的に出し、常に相手をロープに詰めて攻撃を許さず、ジェニングスは足の速さと防御の巧みさで、クリチコの決定打を避けて、終始したが、一発のパンチも当てることなく終了。
判定は116:111が2人、118:109が1人でクリチコ完勝。
クリチコの強さは絶対に危険を冒さない。どんな展開になっても常に計算、冷静さを失わない。無理をして攻撃を行わない。自分の距離で闘う等、頭の良さがつくづくみえる戦法である。パンチは早く、長い左ジャブで相手をコントロール、チャンスとみるや大砲のような右ストレートがとんでくる。一発必倒の力強さで、体力を使う。
フック、アッパーなどは殆ど使わない。もうすぐ40歳であるが、そのスピード、体力、持続力はいささかも衰えを見せておらず、18回目の防衛を果たした。
あとはモチベーションをどれだけ保つことが出来るかにかかっている。
因みにリング・マガジン社選定のパウンド・フォーパウンド(全階級を並べてのNo.1)
1位 フロイド・メイウェザー
2位 ローマン・ゴンザレス
3位 ウラディミール・クリチコ
4位 ゲンナディ・ゴロフキン
5位 ギジュルモ・リゴンドー
6位 マニー・パッキャオ
7位 カール・フロッチ
8位 セルゲイ・コバレフ
9位 テレンス・クロフォード
10位 山中慎介 となっている。
会場 ニューヨーク, ブルックリン バークレイズ・センター (2015年5月25)
ウェルター級12回戦、143ポンド契約(ノンタイトル)
WBA、WBC、S・ライト級チャンピオン ダニー・ガルシア(米)27歳、戦跡29戦全勝17KO ニックネームはスイフト(俊敏な奴)。
2013年9月ルーカス・マティセに勝ってSスター候補にのし上がったが、14年4月マウリシオ・ヘレラに大苦戦、評価を下げた。
対戦者レイモンド・ピーターソン IBF S・ライト級チャンピオン、戦跡36戦33勝17KO 2敗1分。ガルシアは勝敗にかかわらずタイトルの変動はないがIBFはピーターソンが敗れた場合、タイトルは剥奪する意向である。
1R ガルシアは圧力をかけて前進。ピーターソンは足を使って左ジャブで対抗する。
2R~5R ピーターソンはガルシアの強打を警戒、打たれないことを主体として応戦。
4R ガルシアは打ち合えとアピール。ガルシアは足が速く、身体の柔らかいボクシングの巧みなピーターソンに攻めあぐむ。出すパンチはほとんど当たらない。
6R ガルシア動きを止めようと、ボディ中心に攻める。ピーターソンは一転攻勢を強め、手数を増やし打ち合う。
7R~9R ピーターソンがぜん攻撃を強めて積極的に打ち合い、ガルシア後退。
10R ガルシア 左ジャブ、フックを受けて右顔面傷つく。ピーターソン余裕からシャッフルをみせる。観客からもっと打ち合えのブーイング。
11R、12R 一転ピーターソン攻勢を強めガルシアおされるうちに終了。
ピーターソンは勝ちを確信したようだ。
判定は115:113が2人、114:114が1人でガルシアの辛勝となる。
試合は中盤から完全にピーターソンのペースとなったが、前年に足を使って逃げた点がおしまれた。しかしボクシングセンスは抜群で、実に巧み、足も使えて、打ち合いも、接近戦も出来るオールラウンドのボクサーである。子供の頃は路上生活をして苦労したようである。
一方ガルシアは左ジャブが無い為に、巧いボクサーで足が速い相手には今後も苦戦を強いられそうで、前途多難とみた。スーパースターへの道は遠のいて行く。
会場 ニューヨーク, ブルックリン バークレイズ・センター (2015年5月25)
WBO ミドル級ノンタイトル12回戦、クイリンがリミット72.5kgのうち200g落せずに
ノンタイトル戦となった。
チャンピオン アンディー・リー(アイルランド)30歳、戦跡36戦34勝24KO2敗(サウスポー)
ジョン・ジャクソンを逆転KOで下したあと、王座決定戦全勝のサウスポー1位のマット・コロボフを同じく逆転6RTKOで下し王座についた。
挑戦者ピーター・クイリン(米)31歳、戦跡31歳全勝22KO、14年9月に指名挑戦者マット・コロボフを嫌ってタイトル剥奪された。サウスポーが苦手であったようだ。
相手がリーとなり組みやすいと考えて今回の試合となったが体重を落しきれずにノン・タイトルとなった。ニックネームはキッド、チョコレート、父がキューバ人であり、1930年代にフェザー級にS・フェザー級の伝説ボクサー、キッド、チョコレートにちなんでのニックネームである。
1R クイリンのオーバーバンドの右フック一発でリー ダウン、立ち上がったところへ追い打ちをかけて、リー ダウン寸前、ゴングに救われる。
2R リー警戒して立ち上がるが、中盤激しく打ち合う。リー バッテングで左目上切る。
3R リー回復してきて攻撃に転じたところへクイリンの右フックでダウン、しかし立ち上がって、必死に反撃、一方的展開を防ぐ。
4~6R クイリンまったく手が出なくなり、ペースは次第にリーに移っていく。
7R リー 左ストレートに対し、打ち終わりを狙って右ストレートとのカウンターを打ってきたクイリンに返しの得意の右フックでクイリン ダウン、立ち上がったところへリー集中打。
8~12R お互いに手数が少なく一進一退が続くうちに終了。
判定は113:112、112:113、113:113の3者3様でドローとなる。
リーの粘りは驚異的であったが、クイリンがだらしなさ過ぎ、パンチは充分にあるのだが
組み立てがまったく駄目。相手の攻撃に当たって真っ直ぐに退くのも気になる。
このままでは全勝にも拘らず、トップ戦線でスターにのし上るのは困難ではないか。
なにせこのクラスには驚異の14連続KO中のゴロフキン、歴戦の雄ミゲール・コット、強打と巧みさで速さを合わせ持つ、ダニエル・ジェイコブスがひかえているからだ。
会場 カリフォルニア州イングルウッドフォーラム。(2015年5月18日)
WBCフライ級タイトルマッチ
チャンピオン ローマン・ゴンザレス(ニカラグア)27歳。
戦跡42勝全勝36KO、プロ・アマ通じて無敗。
挑戦者エドガル・ソーサ(メキシコ)35歳、戦跡59戦51勝30KO 8敗、元WBC Lフライ級チャンピオンを永く続けた。
1R ゴンザレス例によって左ジャブを中心にプレッシャーを掛ける。
ソーサー圧力に押されて足を使い、距離をとるが、ゴンザレス委細かまわずに力強い
パンチを間断なく出す。
ソーサーも必死にパンチを振るうが後退しながらの為に威力がない。
2R ゴンザレス一段と圧力を強め、左フックをボディーに右ストレートを顔面に放って
ダウンを奪う。
立ち上がったところに右フックからの左ストレートで2度目のダウン、更にソーサがクリンチにくるのを許さず、強烈な連打で3度目のダウンを奪ってTKOに下す。
段違いの強さで歴戦の雄ソーサを鎧袖一触、相手にしなかった。
会場 カリフォルニア州イングルウッドフォーラム。(2015年5月18日)
WBAスーパー、WBCミドル級タイトルマッチ
チャンピオン ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)33歳、
戦跡32戦全勝29KO、現在タイトル獲得後13連続KO中、ニックネームはG・G・G。
挑戦者はウイリー・モンロー・ジュニア(米)28歳、同組2位。
戦跡20戦19勝6KO 1敗、ニックネームはマングース。
1R ゴロフキン相手をロープに詰める。モンローは足を使って逃げの一手。
モンローは足も早くパンチも早い。
2R 狙いすました左フック一発でモンロー ダウン、更に右フックで2度目のダウン。
このRはモンロー何とか凌ぐ。
3R モンロー足を使って衝突を避け回復を図る。中間距離は危険とみて、接近戦に持ち込みボディブローを打って対抗する。
4R モンローは接近戦に活路を見出しショートパンチを数多く出し、立ち直る。
5R ゴロフキンのパンチ的中率がいつもより悪く、空振りも目立つが、不十分でも当たればモンローふらつく。
6R ゴロフキン開始早々、集中打を浴びせモンロー ダウン。これまでのダメージも深くカウントアウト、TKOにモンローを下す。
ゴロフキンは近年にない不出来の試合で防衛戦の中で一番の苦戦の闘いであった。
しかし結果は14連続KOであり、あと3KOで記録に並ぶ。
会場 イリノイ州シカゴUICパビリオン
WBAミドル級タイトルマッチ
チャンピオン ダニエル・ジェイコブス(米)28才
戦跡29戦28勝25KO1敗 ニックネームはミラクル・マン
2011年王座決定戦を全勝対決で闘ったがKO負。初の1敗のあと骨肉腫を発症、1年7ヶ月のブランクを経て復活。タイトルを奪還した。
挑戦者 キャレブ・トルーアックス(米)
戦跡28戦25勝15KO 1敗2分
1R トルーアックスは攻撃重視の前かがりで前進、ジェイコブスは後退しながら長い左ジャブで対抗。速く鋭く正確なジャブである。右はストレート一発のみ
2R トルーアックスは相手をロープに詰めての連打が狙いだが、ジェイコブスの接近する前に出た左ジャブに邪魔されて接近できない。
3R ジェイコブス時折サウスポーにチェンジしながら無理押しすることなしに、相手の攻撃を見定めながら慎重に斗う。
4R ジェイコブスの足を使っての左ジャブ右アッパーストレートで主導権は完全にジェイコブスに。
5R ジェイコブスは60~70%の力で多彩なパンチを繰り出し、試合をコントロール。
6R ジェイコブスは相手が打ち気とみるや、足を使って動いて付きあわず、チャンスとみるや猛然と集中打でトルーアックスダウン寸前。
7R トルーアックス、出鼻を叩かれて鼻血を出す。
8~9R ジェイコブス、攻撃力を強めることなく流れにのって試合をすすめる。
10R ジェイコブス、ゆっくりした動きから機をみて、急に集中攻撃、トルーアックスぐらつく。
11R 起死回生を回って、トルーアックス前進してパンチを振うが、まともにカウンターを受ける。ジェイコブスは判定でも良しと考えているようだ。
12R トルーアックス前進しジェイコブス下がるが鋭い右ストレートで、トルーアックスたまらずロープダウン。そのあと、今迄が嘘のようなジェイコブスの嵐のようなパンチの雨でトルーアックス2度目のダウン。TKOとなる。攻撃一辺倒であったジェイコブスが一敗のあと試合のスタイルを変えて無理押しすることなく冷静に相手を見きわめ、倒すべきところで倒す。大人のボクサーに変身した。
31戦全勝のピータークイリン、ミゲール・コット等、強豪が揃っており、これから統一戦で激突がみこまれる。
会場 ネバダ州ラスベガス・バームズ・カジノ・リゾート 2015年5月11日
WBCフェザー級タイトルマッチ。チャンピオン ジョニーゴンザレス(メキシコ)33歳。挑戦者ゲイリー・ラッセル(米)、戦跡26戦25勝14KO 1敗、1敗はロマチェンコである。(サウスポー)
1R ラッセル パンチが早くゴンザレス打ち終わりを狙う。
2R ゴンザレス前に出てプレッシャーをかけ始めるが、相手のスピードについていかれない。
3R 前に出るゴンザレスにラッセル、左ストレートのカウンターから返しの右フックでゴンザレスたまらずダウン。ラッセルここぞとばかりに攻撃を集中。
4R 前回の流れのまゝ連打を重ねて2度のダウンを奪い、TKOにゴンザレスを下し、王座交替。
会場 ネバダ州ラスベガス コスモポリタン・オブ・ラスベガス チェルシー・ボール・ルーム (2015年5月11日)
WBOライト級王座決定戦。元2階級チャンピオン粟生隆寛31歳、戦跡31戦27勝12KO 3敗1分。対戦者レイムンド・ベルトラン(メキシコ)33歳。戦跡37戦29勝17KO 7敗1分ベルトラン、計量200gオーバーで、この結果勝ってもタイトル獲得はない。粟生が勝てば王座につく。
1R ベルトラン強打を振ってプレッシャーをかけて粟生をロープに追い詰める。
2R ベルトラのン攻勢変らず、ロープに詰めてショートの右フック一発で粟生ダウン。立ち上がったところへ ベルトラン猛攻。ロープに詰めて連打を浴びせてレフリーストップ。粟生3階級制覇ならず。タイトルは空位のまゝ。
製本用 修正済
会場 テキサス州ヒューストン・ミニッツメイド・パーク(2015年5月11日)
野球のヒューストン・アストロズの専用球場であり、入場者4万人、入場料26ドル~630ドル。Sウェルター級ノンタイトル12回戦。
サウス・アルバレス(メキシコ)24歳。戦跡 46戦44勝31KO 1敗1分。1敗はメイウェザー戦。2014年7月にはエリスランディ・ララに2:1の判定で辛勝している。
対戦者ジェームス・カークランド(米)31歳。戦跡 33戦32勝28KO 1敗。1敗は石田戦KO敗。
1R カークランドは短期決戦を唯一の勝つ道であると決意してか、開始早々全力で猛攻をかけ、アルバレスをロープに追い込み連打、アルバレスは中盤以降に右ストレート2発、右アッパーで形勢逆転、右ストレートでカークランド ダウン。立ち上ったところへのボディブローからの連打でカークランド ダウン寸前ゴングに救われる。
2R アルバレスの攻勢にカークランド防戦一方、途中からカークランド必死に反撃して頑張る。
3R カークランドは接近して打ち合う以外にないことを自覚して接近戦を挑むが、アルバレスの強烈な左アッパーでダウン。立ち上ったところへ左ストレートをボディーにフェイントをかけ、右フック顔面にヒット、カークランド マットに大の字となりKOされる。
会場 テキサス州ヒューストン・ミニッツメイド・パーク。アルバレスのアンダーカードである。
フェザー級10回戦。ジョセフ・ディアス(米)22歳(サウスポー)。戦跡16戦全勝10KO、オリンピアンである。
対戦者 ジョバンニ・デルガド(メキシコ)24歳、戦跡17戦15勝9KO 2敗。
1R 右ジャブが良く、自分の距離をつかんでディアス巧みに試合の主導権を握る。
2R 右ジャブを多用、左ストレートを顔面に、返しの右フックをボディーに打ち分ける。
3R ディアス パンチはシャープで的確、ガードも固く、主導権を渡さない。
4R デルガドも劣勢を挽回すべく、パンチを力強く振り始める。
5R デルガド接近戦に持ち込んで乱打戦に持ち込む考え。
8R デルガド前に出るが、ディアス足を使って打っては離れ、的確なパンチをあてる。
9R ディアス倒しにかゝり集中打をみせるがならず。
10R 両者打ち合いの中で終了。
判定99:91、100:90が2人でディアス完勝。ディアスはアマの経験が豊富で、ボクシングは巧く、当てる勘も良く、良くまとまっているが、このクラスにはアマ史上最高と謳われている天才ワシル・ロマチェンコがおり、体力、強打のニコラス・ウォータースやオルランド・サリド等錚々たる面々が顔を揃えており、力の差は歴然。このクラスで頭角を現すのは難しい。
会場 米国ネバダ州ラスベガス MGMグランド・ガーデンアリーナ。(2015年5月3日)
ウェルター級 WBA、WBC、WBO 統一戦タイトルマッチ。前日の計量、入場料10ドルで11,000入場者、当日の入場料最高席12,000ドル、144万円、リングサイド席プレミアついて3千万円となっていた。ファイトマネー、メイウェザー200億円、パッキャオ150億円である。
フロイド・メイウェザー(米)38歳、WBA、WBC ウェルター級チャンピオン、戦跡47戦全勝26KO、ニックネームはマネー(金の亡者)。マニー・パッキャオ(フィリピン)36歳、WBOウェルター級チャンピオン、戦跡64戦57勝38KO 5敗2分。
日本での勝敗予想クイズは56%対40%引き分け4%でパッキャオ有利である。
1R メイウェザーはパッキャオの攻撃を警戒しガードを高く揚げて立ち上がる。
観客からマニーコールが一斉に起こる。パッキャオの前進に、右ストレートのカウンターを狙う。
2R パッキャオ、 メイウェザーをロープに詰めて連打、観客よりマニーコールの大合唱。メイウェザー押されるが防御は完璧。
3R パッキャオの攻勢は変らず、ロープに詰めて攻撃するが有効打なし。
4R パッキャオの左ストレートがメイウェザーの顔面をとらえてからメイウェザーをロープに詰めて集中打、メイウェザー防御一辺倒。
5R メイウェザー退りながら、廻りながら左ジャブを数多く出し続ける。
6~12Rまでこの攻防は変らずパッキャオの攻勢と、メイウェザー足を使って、その攻撃をかわし、左ジャブを間断なく出す作戦で終始そのまゝ試合終了。ロープに登ってメイウェザーは観客にアピールするが観客席からは大ブーイングの嵐が返ってきた。
判定は116:112が2人、118:110が1人でメイウェザーの勝利となった。
この結果は1R毎に優劣をつける基準と、ジャブが有効でなくても出せば採点に有利なことから、たとえ逃げ廻っていてもジャブさえ出していれば有利な採点基準を巧みに使ったメイウェザーの作戦勝ちであったとみる。
一方パッキャオは良く闘ったが、ファン・マヌエル・マルケス戦で衝撃の右カウンターでKOされた後遺症が残っており、メイウェザーの右ストレートのカウンターを極度に警戒し、持ち前の踏み込みに鋭さを欠いたことがあげられよう。
会場 ネバダ州ラスベガス MGMグランド・ガーデンアリーナ。(2015年5月3日)
フェザー級10回戦。レオ・サンタ・クルス(メキシコ)26歳。戦跡30戦29勝17KO 1分、WBC S・バンタム級チャンピオン、体重苦の為に1階級上げたいとの思いからでの試合である。ニックネームはテレモト(地震)。
対戦者ホセ・カエタノ(メキシコ)28歳。戦跡20戦17勝8KO 3敗。
1R サンタクルス例によって両腕を高く掲げて顔面を完全にガードして相手にプレッシャーをかけてロープに詰めて連打する。
2R サンタ・クルス、手数多く攻めるが、ロープに詰まったカエタノはサンタ・クルスの打ち終りを狙って強打を振るう。
3R カエタノは顔面へのパンチを首を振ってまともに受けないテクニックを披露し、防御の技術もしっかりして、打たれたら打ち返して試合を一方的にされることを防ぐ。
4~10R 同様の試合経過をたどりサンタ・クルスの攻撃も決め手を欠いて終了。
判定は3者とも100:90でサンタ・クルス完勝。
サンタ・クルスは1階級あげて大丈夫かとの試金石の試合であったが、矢張りパンチ力に今ひとつ上の破壊力が必要ではと思わせた。相手の体力もパンチ力も一段違うことから、あと一試合様子をみるのではないか。その結果3階級制覇を狙うことになろう。
会場 米国ネバダ州ラスベガス MGMグランド・ガーデンアリーナ (2015年5月3日)
WBOフェザー級タイトルマッチ。チャンピオン ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)、戦跡4戦3勝1KO
1敗、北京、ロンドン5輪金メダリスト。アマ時代の戦跡398戦396勝1敗1分。ボクシング史上最強のアマチュアボクサーと言われる。プロ転向2戦目で世界戦、歴戦の雄オルランド・サリドの前に敗退したが3戦目でタイトル獲得、2度目の防衛戦である。サウスポー
挑戦者ガマリエル・ロドリゲス(プエルトリコ)、戦跡30戦25勝17KO 2敗3分、
同級1位。
1R ロドリゲス、ロマチェンコ共に静かに立ち上がる。
2R ロドリゲス、ロマチェンコの前に出るところ、止めようと力強いパンチを振るう。
3R ロマチェンコ動き始め、前後左右に流れるように動き、頭をたえず動かして、ペースに乗る。ロドリゲス相手の動きを止めんとボディを中心に攻めるが、ロマチェンコの右ジャブの速さと数に押される。
4R ロマチェンコ、一段と動きが早くなり打ってはポジションを変え、パンチは多彩で的中率も良く、ロドリゲス止むなくホールディングで相手の腕を抱え込む。
5R ロマチェンコは力を入れないスピードだけでパンチを繰り出し、ロドリゲス ローブローを繰り返して減点1。
6R 5Rからロマチェンコの一方的試合となり、ロドリゲス、時に反撃するが全く当たらない。
7R ロマチェンコの左アッパーのボディブローでロドリゲス、耐え切れずダウン。
8R ロドリゲス、ローブローで1点減点さる。
9R 右フックからの左ボディブローでロドリゲス2度目のダウン。
戦意喪失してKOとなる。
ボクシングのレベルの違いは歴然としていた。しかしロマチェンコの今のパンチ力ではオルランド・サリドのような体力、パンチ力、打たれ強さのある相手を止められないのではと思われる。
製本用 修正済
会場 カナダ ケベックシティ、ペプシ・コロシアム。 (2015年4月27日)
北米 L・ヘビー級タイトルマッチ チャンピオン アルツール・ぺテルビエフ(ロシア)30歳、戦跡7戦全勝7KO。アマ時代現在の3団体王者セルゲイ・コバレフに勝っている。今注目の選手の1人である。挑戦者ガブリエル・カンピーリョ(スペイン)36歳。
戦跡33戦25勝11KO 6敗1無効試合、サウスポー
1R ぺテルビエフ、スタンスを広くとり腰を低く、ガードはしっかりと高く置き、左ジャブで前に出る。カンピーリョ押し返してきたところへ右ショートフックからの右ストレートでカンピーリョ ダウン。立ち上がったところへ左ジャブを上・下に打ち分け、更にガードを下げて、カンピーリョの右ジャブを誘う。打つときにガードが空くのを狙う作戦である。
2R 左ジャブ、左フックとよく手が出て、時に強力な右ストレートを放つ。
3R 左ジャブを中心に上・下に打ち分け、付け入る隙を与えない。
4R 左・右のボディブローから右ストレートついで左フックを顔面に決めてカンピーリョ ダウン。そのまゝKOとなる。
打ち終ったあと、相手もみずに引き上げるその格好のよさに惚れ惚れさせられた。
階級の谷間にあり脚光を浴びることのなかったL・ヘビー級がコバレフ、スティーブンソンの出現によってにわかに注目されるようになり今回は又、スター誕生を予感させる試合であった。
会場 カナダ ケベックシティ、ペプシ・コロシアム。 (2015年4月27日)
WBC L・ヘビー級タイトルマッチ、チャンピオン アドニス・スティーブンソン(カナダ)37歳、戦跡26戦25勝21KO 1敗、5度目の防衛戦、ニックネームはスーパーマン、サウスポー。挑戦者サキオ・ビカ(オーストラリア)36歳、ニックネームはスコーピオン 前WBC S・ミドル級チャンピオン
全勝したまゝ引退したジョー・カルサゲと現在全勝中のチャンピオン、アンドレ・ウォードとも闘っている歴戦の強者である。
1R スティーブンソン右ジャブで様子を狙う。左足を極端に引いて、完全な半身で闘う。ファイターのビガが入ってくるところへ得意の左ストレートをあてる作戦である。
2R スティーブンソン右を数多く出して、ビカの接近を阻み、自分の距離を保って闘う。
3R ビカ、スティーブンソンの右ジャブを物ともせずに接近するや、丸太棒のような左・右のパンチを振り回す。
4R スティーブンソン、ビカのパンチ力を警戒し打ち合いを避けてカウンター狙い。
5R スティーブンソンの左ストレートでビカ ダウンするがスリップと判定される。
しかしビカ ダメージを受け、スティーブンソン一気に主導権を握る。
6R ビカの左ジャブに合せたスティーブンソンの左ストレートが次第にタイミングが合ってきて、ビカの踏み込んでくるところへ、左ショート ストレートでビカ ダウン。
立ち上がったところへスティーブンソン左ストレートを集中して振るう。ビカ ダメージ深く足もつれる。
7R 劣勢を挽回しょうとビカ必死で前進、スティーブンソンをロープに詰めて連打する。ビカの闘志が上回った。
8R 前進し左右パンチを振るうビカに対してスティーブンソンは待ちのボクシングで手数が少なくなる。やゝ持て余し気味。
9R スティーブンソンはコーナーからの指示か、この回積極的に打って出ての左ストレートでビカ2度目のダウン、足ふらつく。
10R スティーブンソン、倒しにかかるがビカは作戦変更で前に出ることを止め、スティーブンソンのストレートに合せてカウンター狙いに切り替えた為にこのR終了。
11R スティーブンソン、決めに出るがビカ体勢を立て直しスティーブンソンの左ストレートだけ警戒し、右の一発ロングフックにかける中で、左右フックがスティーブンソンの顔面にヒット スティーブンソン怯む。
12R 両者疲れて一進一退のまゝ、スティーブンソンは流し気味に終了。
判定は115:111、116:110、115:110で3者共にスティーブンソンの勝利とした。ビカは持ち前のスタミナとパワーで正面から対決、存分に力を発揮して闘った。もしダウンが無かったら極めて難しい判定になったことだろう。
スティーブンソンは後半やゝ失速して一抹の不安を残したが、意外なテクニックも披露してボクシングの幅もあることを示した。これでいよいよコバレフとの頂上決戦が待たれることゝなった。
会場 フィリピン メトロ・マニラ、ケソンシティ、アラネタ・コロシアム。(2015年4月20日)
WBO L.フライ級タイトルマッチ。チャンピオン ドニー・ニエテス(フィリピン)32歳。戦跡39戦34勝20KO 1敗4分。2007年、ミニマム級のタイトルを、2011年L.フライ級タイトル獲得して、6度目の防衛戦である。
挑戦者はヒルベルト・パーラ(メキシコ)BO 13位。戦跡22戦19勝17KO 2敗1無効試合。
1R ニエテス、しっかりとガードを固めて、用心しながらあいてにプレッシャーをかける。
2R パーラの右フックのボディブロー強烈で、ニエテス、慎重に試合をすすめる。
3R ニエテス、パーラ得意の中間距離をつめて自分の距離で闘い、左ジャブを多用し、試合をコントロール、パーラのカウンター狙いのさそいにのらない。
4~5R ニエテス、ジャブでパーラの大勢を崩さないかぎり攻撃を加速することなく自分のボクシングはを守り、しかもポイントは獲得していく。
6R パーラ、試合の流れは自分に不利とみて、攻勢に転ずるが、ニエテス」に巧みにかわされる。
8R パーラ攻撃優先で前がかりになったところへ、ニエテスの右ストレートのカウンターが決まりパーラ、ダウン、立ち上がったところでニエテス、ここぞと集攻撃をかける。
9R 連打をうけたパーラは右目上を切り出血。ニエテスの右ストレートのカウンターでダウン寸前に追い込まれ、
9R終了時、TKOでニエテス完勝。6度目の防衛を果たした。パーラも戦跡が示す通りの強打者でパンチも早く、強い選手であったがニエテスはパーラの得意とするところを封じ込める試合運びに一日の長があり、その老獪さは流石で、当分の間政権は揺らぐことはないであろう。
会場 フィリピン メトロ・マニラ、ケソンシティ、アラネタ・コロシアム。
(2015年4月20日)
Sバンタム級(NABAタイトル)。ノニト・ドネア(フィリピン)32歳、元5階級チャンピオン。戦跡36戦33勝21KO 3敗。2014年10月に頂上決戦でニコラス・ウォータースにTKOで敗れての再起戦である。ニックネームは「フィピーノ・フラッシュ」。
対戦者ウイリアム・プラド(ブラジル)31歳。戦跡27戦22勝15KO 4敗1分。
1R プラドはドネアの強打を警戒し、ガードをガッチリ固めて防御主体に構えて立ち上がる。様子をみていたドネアは顔面が固いとみるや左フックのボディブロー2発。
2R ドネアはガードの上からパンチを振い、空いたボディに左フックを送り込み、左右フックで前を空けて左右アッパーを顔面に打ち込む自在なボクシングを展開し、TKOに下す。
実力差は歴然としており、プラドは一発のパンチも打つこともなく敗れたが、ドネアの軽いフットワークとパンチの多彩さと鋭さは全盛時を思わせ、完全復活を思わせた。
ファンとしては喜ばしいかぎりである。
会場 フィリピン メトロ・マニラ、ケソンシティ、アラネタ・コロシアム。
(2015年4月20日)
WBOインターナショナル バンタム級王座決定戦。(インターはBOバンタム級の下部団体)。WBOバンタム級11位赤穂 亮(日本)28歳。戦跡28戦25勝17KO 1敗2分。
対戦者プロスベー・アンクラー(ガーナ)。戦跡29戦24勝15KO 4敗1無効試合。
1R 例によって赤穂左右の力強いパンチを振って、アンクラーを守勢に回す。
2R アンクラーは黒人特有の長い腕を使って左ジャブを突いてアウトボクシングの作戦である。が、赤穂に距離を詰められて思う通りにならず。
3R 赤穂の力強い左右フックの迫力にアンクラーたじたじ。
4R 赤穂の右フックでアンクラーたまらずダウン。そのままKOとなる。
アンクラーは戦意喪失したようであった。
会場 イギリス シェフィールド・モーターポイントアリーナ (2015年4月20日)
IBFウェルター級タイトル・マッチ。 チャンピオン ケル・ブルック(英)28歳。戦跡33戦全勝22KO。ショーン・ポータから2:1のスプリット・デシジョンでタイトルを奪取、初防衛戦である。
挑戦者イオナット・ダン・イオン(ルーマニア)IBFウェルター級1位。戦跡36戦34勝18KO 2敗 サウスポー。
1R ブルックの右ストレートが当たり好スタート。
2R 右ストレートでイオン、ダウン、立ち上がったところへ右アッパーで2度目のダウン。
3R 試合は一方的となり、ブルックがいつ倒すのかに興味は移っていった。
4R イオン左ストレートのカウンターで3度目のダウン。ついで右アッパーで4度目のダウン。 4R終了時TKOとなる。
2Rのダウンで試合の大勢は決しており、ブルックの実力の程は未だ確認出来なかったが、一発で相手を倒す選手ではなく、様子をみながら機をみて連打で倒す形であるようだ。次の試合はもう少し実力者と対戦させたいものである。
会場 カナダ モントリオール ベル・センター。(2015年4月6日)
3団体統一チャンピオン(WBA、IBF、WBO)WBC、ダイアモンドベルトも保持。セルゲイ・コバレフ、戦跡27戦26勝23KO 1分、(ロシア)31歳。ニックネームはクラッシャー。挑戦者はジャン・パスカル(カナダ)32歳。戦跡33戦29勝17KO 2敗1分1無効試合。元WWC Lヘビー級チャンピオン、WBO 1位。バーナード・ポプキンスに敗れてタイトルを失う。
1R コバレフ実に自然体でリングに上がるがその圧力にパスカルおされる。
2R コバレフ、左を多く出し、次いで右ストレート、全身から発する圧力にパスカル得意の足の速さも、動きも、パンチの速さも封じられて身動きが取れない。
3R 左ジャブと右ストレートにパスカル、ダウン ゴングに救われる。
4R 集中打でパスカル ダウン寸前。しかしコバレフ、無理押しはせずに、距離をとり、よく相手をみる為に、パスカルは一発狙いしか対応策がなくなるが、見極められて効果はない。
5R、6R コバレフじっくりと闘い、フットワークも使いジャブでコントロール。
7R 左ジャブでパスカル ダウン寸前。ゴングで救われる。
8R パスカル ダウン寸前、予定通りの連打でレフリー ストップ。コバレフの圧勝であった。
コバレフは沈着冷静で安全運転、左ジャブで相手をコントロール。ここという時に右ストレートを中心とした強打で試合を終わらせる頭脳的なボクサーである。
当分の間牙城は崩れまい。
会場 カリフォルニア州オンタリオシチズンズ・ビジネス・バンク・アリーナ (2015年4月6日)
WBAウェルター級暫定王座決定戦。アンドレ・ベルト 元WBC/IBFウェルター級チャンピオン。戦跡32戦29勝22KO 3敗(米)31歳。ビクター・オルチスを倒し倒されの激闘の末KOに敗れ、初の1敗でタイトルを失いその後ゲレロ、次いでヘスス・ソト・カラスに敗れ、ベルトも終りかと思われていた2014年10月チャンバースを判定に下し、
今回本当の再起戦である。
対戦者ホセシト・ロペス(米)30歳。戦跡40戦33勝19KO 6敗1無効試合。ニックネーム
はリバーサイド ロッキー、WBAウェルター級7位。6敗のうちKO負けは2。ビクター・オルチスに勝っている。カネロ・アルバレスとマルコス・マイダナと強豪である。
1R ベルトがガードを固めて立ち上がる。ロペスは柔らかくかまえる。
2R ロペスの攻撃をベルト、ブロックを固めて防御に専念、全く攻撃せず。
3R 一進一退。
4R ベルト強めに出始める。
5R ベルト左ジャブ、右フック、ストレートで攻撃。
6R ベルト左フックと右ストレートでダウンを奪い、そのままKOにロペスを下す。
ベルトは暫定ではあるがチャンピオンに帰り咲くが身体がかたく、打たれ弱さが克服できない弱点は相変わらずで
、この為に攻撃力にも影響しており、前途は多難である。
会場 カリフォルニア州オンタリオシチズンズ・ビジネス・バンク・アリーナ
(2015年4月6日)
ウェルター級12回戦。ショーン・ポーター 前IBFウェルター級チャンピオン、戦跡26戦24勝15KO 1敗1分(米)27歳。マニー・パッキャオがミゲール・コットと闘う前にスパークリング・パートナーにポーターを指名している。
ケル・ブルックに初の1敗でタイトルを失って7ヶ月振りの再起戦である。ニックネームはショータイム。対戦者エリック・ボネ(エクアドル)26歳、戦跡17戦16勝8KO 1敗。
1R 例によってポーター積極的に前に出る。ボネは待ちのボクシング。
2R ボネは左フックと右ストレートのカウンター狙いであるが、ポーターの圧力に負けて手数が少ない。
3R ポーター以前に比べて左ジャブを多用、ボネ鼻血を出す。
4R ボネ、劣勢を挽回すべく攻撃に転じポーターをポープに詰めて連打。ポーター意外にもフットワークを使ってこれを躱す。
5R ポーターの左フックのボディブローでボネ、ダウン。立ち上がったところへポーター得意の連打でボネを下す。
ケル・ブルックに敗れた教訓を生かし、相手の攻撃を良く見て、フットワークを使い左ジャブを常に出し、打つべき時には従来通りのパンチを連打で振るう。成長した姿を私達の前に披露した。今後が楽しみである。
製本用 修正済み
会場 米国 ネバダ州ラスベガスMGMグランドガーデン・アリーナ (2015年3月26日)WBA ウェルター級タイトルマッチ。チャンピオン キース・サーマン(米)26歳
戦跡25戦24勝21KO 1無効試合。4度目の防衛戦。ニックネームは「ワン・タイム」、挑戦者はロバート・ゲレロ(米)31歳。戦跡37戦32勝18KO 2敗1分2無効試合。ニックネームは「ゴースト」元4階級制覇王者である(サウスポー)。
1R サーマン先制攻撃をかけ、積極的に仕掛ける。ゲレロ、ガードを固め、落ち着いて受け止め、右フックで引っ掛け左ストレートのカウンターを狙う。
2R ゲレロはサーマンのパンチ、身体、足といづれも高速スピードに遅れ手が出ない.
3R~4R ゲレロは一貫してカウンターで合わせる作戦であるが、一発当てると数発のお返しが来て主導権が取れない。
5R ゲレロ、攻勢に転じて前に出るが、手を出す前にサーマンに出鼻を打たれる。
6R ゲレロ、勝負に出てパンチを当てるが、サーマンの左フック2発でぐらつく。
7R サーマンの動きは一層大きく速くなり、動いては打つ早さに、ゲレロついていかれない。
8R サーマン、倒しにかかり、力を入れて打ち始め、ゲレロぐらつく。
9R ゲレロ劣勢を回復すべく前進するが、右アッパー2発を左アッパーをガードの上から
打たれダウン。ダメージ深くKOかと思われたが堪らず立ち上がる。
10R ゲレロ必死で、サーマンをロープに詰め、パンチを振るうが、効果がなく、サーマンの鋭いショート・パンチを浴びる。
11~12R 前進するゲレロにサーマン相手にせず、足を使ってアウトボクシングで逃げ切る。観客からサーマンにブーイング湧き上がる。
判定は120:107、118:109、118:108でサーマン勝利。ゲレロも良く鍛えて試合に臨み、最後まで戦闘意欲を失わなかったのは見事であった。
このクラスにはWBAスーパー、WBCの王者にフロイド・メイウェザー、WBAレギュラーにサーマン、IBFにケル・ブルック、WBOにマニー・パッキャオが君臨しており、トップ戦線にアミール・カーン、ファン・マルケス、ティモシー・ブラッドリー、マルコス・マイダナ、ショーン・ポーター、ブラントン・リオスと強豪揃いであるがメイウェザー、パッキャオの後継者はサーマンであることは衆目の一致するところである。
会場 ネバダ州ラスベガスMGMグランドガーデン・アリーナ (2015年3月23日)
Sライト級12回戦 エイドリアン・ブローナー(米)25歳、戦跡31戦29勝22KO 1敗1無効試合、元3階級制覇チャンピオン 2013年12月WBAウェルター級タイトルを豪打のマルコス・マイダナに油断によるまさかの敗北で、次世代のスーパースター候補の一番手の地位から陥落、再起の途上にある。私生活上で数々の問題児である。ニックネームはプロブレム
。対戦者ジョン・モリナ(米)32歳、戦跡32戦27勝22KO 5敗、KOアーチストのルーカス・マティセに2度ダウンを与えたが11R KOに敗れている。
1R 例によってブローナー上体を反らせL字ガードで立ち上がる。左ジャブを多用、モリナほとんど手を出さず。2~3Rブローナー慎重に闘いモリナは大きなパンチを振るうが、目が良いブローナーに当たらない。
5~8R スピードの差は歴然としておりブローナーはリラックスして楽に闘う。
10R ブローナー倒しにかかり集中打するが倒しきれずとみるや、足を使って逃げ切る。
判定は120:108が2名、118:110でブローナーのワンサイドで勝利したが、往年の輝きと迫力に欠け、魅力は半減していた。
会場 北アイルランド ベルファスト オデッセイ・アリーナ。(2015年3月16日) IBF Sバンタム級タイトルマッチ。チャンピオン カール・フランプトン(英)28歳。戦跡19戦全勝13KO
初防衛戦。ニックネームはジャッカル。北アイルランドの英雄である。挑戦者クリス・アバロフ(米)25歳、同級1位の挑戦者。戦跡27戦25勝19KO 2敗。ニックネームはヒットマン、2敗は共に1:2のスプリットデシジョンの強豪である。
1R アバロス予想に反して積極的に打って出ず、慎重に立ち上がる。フランプトンは開始早くエンジン全開、武器のショートストレートは鋭い。主導権を握る。
2R アバロス矢張りパンチを振って前進してくる。フランプトン正面衝突を避けてカウンター狙いに変える。
3R フランプトン接近戦に応じて正面から打ち合う。パンチの早さ、正確さ手数の多さで優位に立つ。アバロス、得意の接近戦で打ち負ける。
4R アバロス主武器の右アッパー2発充分ではないが、当るが相手の右ショートがとんで来る危険がある為に存分に振えない。
5R フランプトン相手の戦力を確認したか倒しにかかり、猛然と集中打、堪らずアバロス防戦一方となり、ダメージを深めてTKO。フランプトン強敵を圧勝で下す。
このクラスはWBAスーパーWBOの王者にオリンピック2連覇、世界戦3連覇のギジェルモ・リゴンドーがおりWBCにレオ・サンタクルスとそれぞれ特色のある名選手が揃っているが、中でものこフランプトンがオールラウンドのボクサーで、一番強いのではないかと評価が急上昇している、アバロスは初めてのKO負け。現在イギリスは超人気のカール・フロッチを先頭としてチャンピオンが6人居て、大いに盛り上がっているところである。
会場 北アイルランド ベルファスト オデッセイ・アリーナ。(2015年3月16日)
ウェルター級12回戦。元英連邦ウェルター級チャンピオン デントン・バッセル (英)30歳。戦跡23戦21勝11KO 2敗。21連勝の後2連敗中。対戦者ビクトル・プロトニコフ(ウクライナ)37歳、戦跡34戦31勝15KO 2敗1無効試合。
1R バッセル前に出るところへプロトニコフ長い左ジャブでこれを止め、右オーバーハンドで再三ヒット、主導権を握る。
2R バッセル、タイソンを思わせるように上体を揺すって相手のパンチを躱し内懐に入る作戦。しかし攻撃に意識が勝るために、攻撃時に動きが止まり、プロトニコフの右ストレートの距離に合い、面白いように当る。
3R プロトニコフ右が当る為に、左ジャブがおろそかになり、右を狙う為に手数が減る。
4R バッセル、主導権をとり返すために前進するが接近時に先に打たれる。プロトニコ フ、左ジャブを意識的に増やす。
5R プロトニコフ左手を下げてリラックス、右ストレートのカウンターを狙い接近さっれるとクリンチで防ぐ。
6R バッセルの出す左ジャブに合わせての右オーバーハンドを意識的に打ちよく的中させる。
7R バッセル身体を揺すって接近するが効果は全くなし。バッセルのコーナーは、接近してボディを集中して攻めろと指示。
8R バッセル、この試合初めて接近して左ボディ2発を的中させ、希望の光がみえる。
9R バッセル、勢い込んで追い込むが疲れもありファイターの鉄則、背中を丸めて顎を引いて内懐に入るべきところ、身体が立って顎を引いて内懐に入るべきところ身体が立って顎が上がって前進するためにプロトニコフのパンチが全てカウンターとなり、一層のダメージとなる。
10R バッセル立ったまま不用意に出した左ジャブに合わせた右ストレートのカウンターを食ってダウン。
11、12Rバッセル一方的に打たれ続け12Rには2度目のダウン。KO寸前にうちにゴング。
判定は118:108が2人、115:111が1人でバッセルの完敗であった。
プロトニコフはバランスが良く、当てる勘もあるがスピードが無く、パンチ力も乏しい。バッセルの立ち直りは難しいのではないか
会場 モナコ・モンテカルロ サル・ドウ・エトワール (2015年3月9日)
ヘビー級10回戦。 ヒューイ・フューリー(英)20歳。戦跡14戦全勝8KO、イギリス ヘビー級のホープである。対戦者アンドリー・ルデンコ(ウクライナ)31歳、戦跡25戦24勝16KO 1敗。
1R フューリー長身198㎝を生かし長いジャブを出しやすいように左を下げ、足を使ってのアウトボクシング、主戦武器はオーバーハンドの右ストレートである。ルデンコは185㎝、接近して左右フックを振って闘うスタイルである。
2R ルデンコ接近を図るが打つ前にフューリーの左ジャブを受けて思うようにならない。
3R~10R フューリーは足を使ってアウトボクシングに徹し、左ジャブを多用。ルデンコがジャブを潜って接近するとすかさずクリンチ。ルデンコはクリンチされるとこれ幸と思ってか自分も休んでしまうパターンが続き、緊張感の無いラウンド続きで終了。
判定は98:92、98:91、97:92でフューリーに上がった。フューリーはこの結果に手放しの態で喜んでおり、勝てば良いと良いと考えているのであろう。ルデンコには何の戦略もみられずフューリーには世界のタイトルを狙うとの気概がみられず、スピード、パンチ力はともに無く、魅力に乏しい選手で多くは望めない。
会場 ドイツ・シュトウッドガルド ポルシェ アリーナ (2015年3月9日)
Sミドル級12回戦、75.5kgのリミット契約の試合である。
フェリックス・シュトルム(独)35歳、21度の世界戦を経験。戦跡46戦39戦18KO 4敗2分1無効試合。ミドル級で4度タイトルを獲得している。ニックネームはファイター。
対戦者ロバート・スティーグリッツ(独)33歳。戦跡51戦47勝27KO 4敗。Sミドル級で2度タイトル獲得13度の世界戦を経験している。
1R 中間距離を得意とするスティーグリッツは予想に反して猛然と突進し、接近戦を挑み連打を集中する。
2R スティーグリッツ、攻撃を強めて手数で圧倒、シュトルムは固いガードと相手の攻撃の間隙を縫ってショートパンチを的確に振るう。
3R スティーグリッツの作戦は変わらずこれで押し切る作戦。正確さでシュトルムだが、いかんせん手数が少ない。
4R スティーグリッツはシュトルムの固いガードに対し様々な角度からパンチを振るい顔面、ボディと打ち分ける。シュトルム、手数に圧倒され手が出ず。
5R スティーグリッツ精力的に打ち続けるのに対しシュトルム、左右アッパーで対抗。
6R スティーグリッツの連打はラウンドの前半を制し、後半の30秒は相手の打ち終りを狙ってシュトル有効な反撃。
7R~9R 攻撃と手数はスティーグリッツ、有効打は少ないがシュトルムでラウンドの終盤に反撃のパターン続く。
10R シュトルム右目上切る。スティーグリッツの攻勢止まらず。
11R 一進一退、スティーグリッツやゝ疲れる。
12R 激しい打ち合いの中終了。
判定は115:113、113:115、114:114でドロー。生き残りをかけた一戦であったが両者ともによく作戦を練り、戦略は明確、十分な準備がみえて最後までスピードもパンチも衰えることなく、各ラウンドの中で、優勢が入れ替わる攻防が続き、しかもクリンチが極めて少なく、レフリーの間に入ることがない流石に世界戦の常連者同士で共にテクニックも素晴らしく、見ごたえのある稀にみる好試合であった。
尚ミドリ級戦線、WBAのスーパーチャンピオンに全勝のアンドレ・ウォード、WBAレギュラーチャンピオンに全英で超人気スター カール・フロッチ、WBOにキングアーサーことアルツール・アブラハム、他にアンドレ・ディレルと数年前にスーパーシックスで闘った4人が健在。
WBC王者に弟のアンソニー・ディレルがいる。実力、人気のスターが並ぶクラスである。
2人とも辛うじて生き残った。シュトルムは一階上げてこのクラスに入るようである。
会場 フィリピン セブシティ ウォーターフロント ホテル&カジノ(2015年3月2日)
WBO Lフライ級タイトルマッチ。チャンピオン ドニー・ニエテス(フィリッピン)32歳。戦跡38戦33勝19KO 1敗4分 2001年にミニマム級で初タイトル、2階級制覇している。世界戦は10戦全勝。
挑戦者はカルロス・ベラルデ(メキシコ)24歳、同級5位。戦跡30戦26勝14KO 3敗1分、ニックネームはチャビト。2013年5月当時WBAミニマム級で宮崎亮に挑戦敗れて以来、2度目の世界戦である。
1R ベラルテ例によって頭を下げて相手の内懐に入り込もうと前進するが、ニエステはベラルテより更に頭を下げ、多彩なパンチでこれを許さない。
2R ニエステ、相手の固いガードで接近するベラルテに左右フックを振ってガードを開かせたところへ、右アッパーを顔面に突き上げる。
3R ベラルテは頭を相手の顔面につけて相手の嫌がる戦法で闘うがニエテスはこれより低く構え、頭が自分の頭より下にあるためにベラルテこれを嫌がる。
4R ニエテス、打ってはすぐにポジションを変えて頭を動かして、体勢を整え接近すると頭を下げてショートのフック、アッパーを振るい、離れるとジャブ、ストレート左右の 大きなフック、アッパーーと多彩、的確なパンチで相手を翻弄。ベラルテは接近して攻撃の前に打たれてペースを握れない。
6R ニエテス詰めに入るや、一転して力強いパンチを連打、体勢はほぼ決する。
7R ニエテス優勢に試合をすすめるうちにバッティングでベラルテ左目上を切る。
8R 試合開始にも拘らずベラルテ、コーナーを出ず。
7R終了時TKOでニエステ5度目の防衛に成功する。両者にボクシングのレベルが違いすぎて一方的となった。
ニエテスはこのクラスでNo.1の実力者であることを攻めて示したが、体重苦もありフライ級にクラスを揚げたいがフライ級には怪物ローマン・ゴンザレスが居て、日本には井上尚弥もいる。強敵揃いのクラスではある。
製本用 校正済み
会場 モナコ・モンテカルロ サル・ドウ・エトワール。(2015年2月23日)
WBA、WBC ミドル級タイトルマッチ、チャンピオン ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)、戦跡31戦全勝28KO 現在12連続KO防衛中、ニックネームはG・G・G。
挑戦者はマーティン・マレー(英) 戦跡31戦29勝12KO 1敗1分、1敗は驚異の男セルシオ・マルケネスからダウンを奪ったが判定負け。1分はフェリックス・シュトルムと敵地で闘ったが疑惑の残る3者3様の引き分けであり、タフでガードの固い負けない型のボクサーであり、元WBA暫定チャンピオンである。
1R マレー顔面、ボディーを完全にガードで固め、防御を主体にして闘うスタイルである。ゴロフキン圧力を掛けて前進、マレーおされる。
2R ゴロフキンの圧力は一段と高まり、マレーロープに詰まるが自らボディブローを放って抵抗する。
3R ラウンドの終盤、、ゴロフキンの集中打ありマレーふらつく。
4Rゴロフキンの右フックのボディブローでマレー ダウン外側から回した右フックのボディブローでマレー2度目のダウン。
5R マレー コーナーに詰まるが一層ガードを固めてゴロフキンの攻撃を凌ぐ。マレー鼻血を出すがパンチのスピードは健在。
6~7R 試合は一方的な展開となるがマレーもしっかり対抗して決定打は許さない。
8R ゴロフキン倒しにかかりマレーを追い回す。マレーも意地を見せて攻撃に耐えやっとダウンを免れる。
9R マレー最後の反撃で左右のショートパンチを振って出るが続かず、ゴロフキンは多少打たれても意に介えさず追い込む。
10R 右フック顔面にヒット。マレー3度目のダウンを喫したところでゴング。
11R 詰めに入ったゴロフキンの連打でレフリーストップ。
13連続KO成る。
マレーは今までの対戦相手の中でも難敵と見られていたが、その理由は①ガードが固いこと②体力があり頗るタフネスであること。③パンチがシャープで大振りしないこと等があげられた。マルチネスとの対戦等で評価が高かった。更に今回の試合では専守防衛に徹しKOだけは喫しないとの決意がみられて、反撃は少ないことからKOは至難と思われたが、ゴロフキンはガードの上を叩いて左右アッパーを突き上げガードの外側を回して左右フックを顔面に、左フックのボディブローを打つなど技術的にもレベルの高いボクシングを披露して難攻不落と見られたマレーを攻略した。パンチを受ける場面もあったが、常に力を抜いてリラックスしておりダメージを受けることが少なく、又後半スタミナ切れを起こすこともない。
冷静でどう攻略するかを考えて組み立てを行い、実行する頭脳的な選手であることがKOの山を築く基となっているのであろう。次は史上2位のLヘビー級ダリウス・ミハイルゾウスキーの14連続KOが目前となった。1位は17連続KOのウィルフレド・ゴメスがいる。ミドル級にはWBAに29戦28勝25KO 1敗の強豪ダニエル・ジェイコブスがいて、これも又センスに溢れた選手である。対抗馬とみられたピーター・クイリンはまさかの敗戦で王座陥落している。
会場 モナコ・モンテカルロ サル・ドウ・エトワール。
WBAミニマム級タイトルマッチ チャンピオン ヘッキー・バトラー(南アフリカ)。戦跡28戦27勝1敗。
挑戦者ヘスス・シルベストレ(メキシコ)同級2位、戦跡35戦30勝5敗KO率63%。この試合は両者とも漫然とボクシングをしており、どのように闘うかの意向が全く見えない。凡戦の典型であった。判定は117:110が1人、あとの2人は115:112でバトラー4度目の防衛を果たした。
会場 ネバダ州ラスベガス・MGMグランドガーデン・アリーナ
WBA Sライト級米大陸王座決定戦。アミール・イマム(米)24歳 WBA Sライト級8位、戦跡15全勝13KO ニックネームはヤング・マスター(若き達人)。
対戦者フィデル・マルドナド JR (米)23歳、戦跡22戦19勝16KO 2敗1無効試合。
1R イマム L字ガードで左フリツカージャブで距離をとる。マルドナド サウスポーの左を振って内懐に入る作戦。
2R マルドナド接近戦に持ち込むがイマムの切れ味鋭い右ショートストレートのカウンターでダウン。
3R マルドナドの左ストレーでイマム ダウン。しかしマルドナドのダメージの方が大きくイマムの右ショートのカウンターで2度目のダウン、次いで集中打で3度目のダウンを奪われる。
4R 距離をとるイマムのボクシングにマルドナド対抗できずに、
5R マルドナド起死回生を狙ってイマムをロープに詰め集中打を振るうが、足に力が入らずパンチに威力が全くないところにイマムのワンツーを受けてダウン、レフリーストップでイマムのTKO勝ちとなる。
イマムはスター候補として注目を浴び始めている選手であるが、L字ガードはジャブの返り際に相手の右を受ける危険性が高く右のガードも甘い。又身体が出来ていない為か、パンチに凄さが乏しく、相手に対する威圧感がない等物足りなさが否めない。
会場 コロラド州ブルームフィールド・ファースト・バンク・センター。
ノンタイトル Lヘビー級10回戦、ヒルベルト・ラミレス(メキシコ)23歳、WBC Sミドル級2位。戦跡30戦全勝24KO、ニックネームはスルド(左利きの男)。対戦者マキシム・ウラソフ(ロシア)28歳、WBC Lヘビー級10位、戦跡31戦30勝15KO 1敗。
1R ラミレス ガードを高く掲げて右ジャブ・右フックを多用、ボディに左ストレート。ウラソフは左を下げてジャブを打ちやすくする構え、身体を絶えず動かして闘う戦術。
2R ラミレスの右フックのボディブローが有効。
3R ラミレスの右アッパー、右フックのボディブローが効いてウラソフ腰を引いて嫌がる。5Rまでラミレス優勢。6R ウラソフ反撃に移り攻撃、ウラソフ後退。
7R ラミレス、急速にスピードが失われ後退。8、9Rウラソフ元気が戻り、ラミレスの失速に勢いづく。
10R 両者懸命に打ち合うが終盤、ラミレス ダウン寸前に追い込まれるが何んとか持ちこたえ終了。
判定は96:94、97:93が2人でラミレス勝利する。ラミレスは若いのに消極的で、力強さも全く無い上にスタミナ不足があまりにもひどく、この程度の打ち合いではスタミナ切れするようでは今後多くは望めない。何しろこのクラスにはWBO、IBFの王者ロシアのセルゲイ・コバレフがいる。強打とテクニック、スタミナ充分で圧倒的強さを誇っており、WBCのスーパーマンことアドニス・スティーブンスンもいて、彼等と比べて力の差がありすぎる。
製本用 OK
会場 コロラド州ブルームフィールド・ファースト・バンク・センター。(2015年2月16日)
ウェルター級WBOインターナショナル王座決定戦12回戦であるが、地域タイトルでこのタイトルはあまり意味はない。
元WBO Sライト級チャンピオン マイク・アルバラード(米)34歳、戦跡37戦34勝23KO 3敗、ニックネームはマイルハイ(高地の男)、3敗の内訳は2012年10月リオスに試合を優勢に進めながら7R逆転KOに初の1敗、2013年
11月あの豪打ルスラン・プロポドニコフに11R KO敗け、2014年5月ファン・マヌエル・マルケスに精彩を欠き一方的に判定敗けでの3敗である。
対戦者ブランドン・リオス(米)28歳、元WBA ライト級チャンピオン、戦跡35戦32勝22KO 2敗1分、ニックネームはバンバン、2敗の内訳は2013年3月WBO
Sライト級王座決定戦でアルバラードに113:115が2人113:114の僅差の判定負け、2013年11月マニー・パッキャオに手も足も出ず完敗がある。この二人は1勝1敗でこの試合がラバー・マッチであり人気はいやが上にも盛り上がった。前評判はやゝリオス有利と出ていた。
この試合はアルバラードが打ち合うか、足を使うかどのような戦術で闘うのかが注目されたが、
1R 相手の出方を見定めようとするアルバラード に対しリオス試合の主導権を握るべく猛攻を仕掛ける。
2R リオスの右ストレートでアルバラードぐらつく、アルバラード のローブローでリオス ダウン、立ち上がったリオスはアルバラードの固いガードを外から回した左右フックとガードが開いたところへ左右アッパーを放ち顔面、ボディと空いたところに的確にパンチを送り込む。
3R アルバラード体勢を立て直すいとまもないままに追いまくられ、リオスの集中打とあとの左アッパーを顎に受けてダウン。3R終了時アルバラード戦意喪失して試合ストップ、TKOでリオス決着をつける完勝。
アルバラードは試合を組み立てゝ作戦を考える前に先制攻撃を受けて敗れた。リオスの作戦勝ちである。アルバラードはプロポトニコフに敗れて以来、自分の戦闘型のボクシングスタイルに自信を失ったのではないかと思われる試合振りであった。
アルバラードは第2戦で激闘型からアウトボクシングに切り替えて過度の打ち合いを避け、足を使って相手の攻撃を躱し、機をみて攻撃に転ずる頭脳的試合振りで勝利した。
従来から打ち合いに自信を持って闘って勝利を重ねてきたが、リオス、 プロポトニコフに力勝負で敗れた為に、アウトボクシングも出来ることから気持ちの迷ったまゝ試合に臨んだのではなかったかと思われ、とりあえず相手の出方を見て対応する作戦であったの
であろう。そこへゆくとリオスは打って打って打ちまくるしか能のない自分のボクシングスタイルを信じて突き進んだ。二人の意識の違いが勝敗を分ける鍵となった。
これでリオスはトップ戦線に生き残ったがウェルター級には天才フロイド・メイウェザー、驚異のマニー・パッキャオ、そして若き才能キース・サーマンといずれ劣らぬ強豪揃いで、リオスが割って入るのは極めて難しいと思われる。
製本用 修正OK
会場 ネバダ州ラスベガス・MGMグランドガーデン・アリーナ(2015年2月9日)
WBCヘビー級タイトルマッチ チャンピオン バーメイン・スティバーン(ハイチ生まれのカナダ人)36歳。戦跡26戦24勝21KO 1敗1分。米のクリス・アレオ-ラをKOに下してチャンピオンとなっての初防衛戦である。
挑戦者は同級1位のデオンティ・ワイルダー(米)29歳、戦跡32戦全勝全KO勝。ニックネームは「ブロンズ・ボマー」(2008年北京五輪の銅メダリスト)
2008年シャノン・ブリックスが敗れて以来8年間ヘビー級でアメリカは20連敗である。過去アメリカはヘビー級の王座に永く君臨、1920年代はジャック・デンプシー、25度防衛のジョー・ルイス、無敗のまま引退したロッキー・マルシアノ、60~70年代のモハメド・アリ、45歳で奇蹟の復活を果たしたジョージ・フォアマン、鉄人マイク・タイソンと錚々たるスターを輩出してきた栄光の歴史があるが、この8年欧州にその座は奪われおり、最後ともいうべきアメリカの希望の星がワイルダーなのである。
32勝は総じて4R以内で悉く相手を倒している。
1R スティバーンはがっちりとガードを固めて前進しプレッシャーをかけてロープに詰める作戦である。ワイルダーは左ジャブで迎え撃つ。
2R ワイルダー長く早い左ジャブで距離を計り、ワンツー攻撃を繰り返しガードの上を叩く。ストレートがガードをかすめてスティバーンの顔面を捉えたところからワイルダー一気に集中打、スティバーンたまらずダウン寸前。ワイルダーの足に抱きついて共にリングに倒れ込んだところでゴング。
3R ワイルダー長い左ジャブで相手を懐に入れない。スティバーン ジャブで顔を上げられてパンチが届かない。
4R スティバーン身体をゆすって前進し弱いながら、パンチが何発か相手に当たる。
5R ワイルダー左ジャブ、右ストレートで集中打、スティバーン ガードを固めてまともに受けることは避ける。
6R スティバーン プレッシャーを掛けて左フックを振るうがワイルダー巧みにスウェーバックを使い又ガードを固めてこれを許さない。
7R ワイルダー右ストレートをヒットさせ、続いて猛攻。再度の右ストレートでスティバーンぐらつく。
8R ワイルダー相手の体力、パンチ力が残っていると判断しスタミナを考えて、左ジャブを適度にくり出して、体力の温存を計る。
9~12R ワイルダーは倒すのを諦め勝利を優先させて安全運転に切り替えて逃げ切った。
判定は118:109、119:108、120:107でワイルダーの完勝でアメリカは8年振りでヘビー級のチャンピオン誕生をみた。
ワイルダーは従来の試合とは一変、力勝負を避けて左ジャブで相手をコントロールし、時折ワンツーストレートを駆使しスタミナの配分も充分に配慮。防御も巧みで、これがあの豪打のワイルダーかと目を疑う試合振りで、ボクシングの巧みさを我々に披露した。
スティバーンはワイルダーが攻撃中心でくると当然考えて作戦を立てゝきたと思われるが、豈はからんや予想外のボクシングのテクニックに完敗した。
これで絶対王者のウラジミール・クリチコとの対戦が今年中に組まれことになりそうである。お互いの左ジャブの効果が試合を決めることであろう。
2003年コリー・サンダースにKOで敗れ、2010年9月サミュエル・ピーターに4~5度のダウンを奪われ辛くも判定勝を納めているように、クリチコは必ずしも打たれ強いとは言い難い。それ以降クリチコは強いパンチを一発も貰うことなく慎重に闘ってきているが、ヘビー級のボクサーでストレートを得意としている選手はレノックス・ルイス以来極めて少ないことが幸いしており、クリチコは強くて長い左ジャブで相手の接近を許さず、自分は安全圏に置いていることが出来たためである。
ワイルダーの左ジャブ、右ストレートはクリチコにとって脅威となるのではないか。
現在ヘビー級のトップ戦線はWBAスーパー、IBF、WBOの3団体はウラジミール・クリチコ。WBAレギュラーはルスラン・チャガェフ。WBOはウラジミールの兄ビタリあったが政治家に転進、空位をステイバーンとアレオーラが争ったものである。
会場 ネバダ州ラスベガス・MGMグランドガーデン・アリーナ。2015年2月9日
WBC S・バンタム級タイトルマッチ。チャンピオン レオ・サンタ・クルス(メキシコ)26歳、戦跡29戦28勝16KO 1分。2階級制覇(バンタム級、Sバンタム級)ニックネームは「テレモト」(地震)。
挑戦者ヘスス・ルイス(メキシコ)25歳、戦跡42戦32勝21KO 5敗5分。ニックネームは「エストレージャ」(スター)同級4位。
1R 例によってサンタ・クルス左ボディ打ちを中心に手数が多くプレッシャーを掛けて前に出る。
2R ルイスもメキシコ人特有のボディー打ちが得意で同タイプである。
3R 接近戦でお互いボディー打ちを中心に打ち合うが、正確さでサンタ・クルスに一日の長あり。ルイスは相手の前進を懸命に抑えるためにパンチを振るう。
4~5R サンタ・クルス序々に優勢となり試合を支配。
6R ルイスやゝ弱ってきて 7R サンタ・クルス ルイスを倒しにかかり、左フックでルイス棒立ちとなる。
8R サンタ・クルス右ストレートでルイスの体勢を崩すや集中打で試合をストップ。TKOで下す。
サンタ・クルスはパンチはやゝ物足りないが練習で培ったスタミナと手数とボディ打ちで、相手が諦めるまで打ち続けるスタイルで4度目の防衛に成功した。
このクラスにはあのギジェルモ・リゴンドーや日本の山中と強豪が揃っている。
今後激突が見込まれるクラスである。
ネバダ州ラスベガス・MGMグランドガーデンアリーナ。 (2015年2月2日)
リングアナはジミー・レノンJR
IBF Sウェルター級12回戦。ジャーマル・チャーロ(米)24歳、IBF Sウェルター4位。戦跡19戦全勝15KO。世界ランカー ジャメールの双子の兄、13連続のKO中。
対戦者レニー・ボッタイ(伊)37歳 同位9位。戦跡24戦22勝9KO 2敗。ニックネームはマングスタ(マングース)
1R チャーロ 早く長い左ジャブでコントロール。
2R ボッタイ 懐に入ろうとするがチャーロの左ジャブと右アッパーでボッタイ ダメージをうけて左目の上も切る。
3R チャーロの左フックでダウン、そのままTKOとなる。
チャーロのボクシングは正統派でパンチは早く正確で強い。特に左ジャブ、左フックが目を引いた。
ネバダ州ラスベガス・コスモポリタン・オブ・ラスベガス。(2015年2月2日)
リングアナはマイケル・バッファー
WBA暫定Sライト級タイトル・マッチ。チャンピオン マウリシオ・ヘレラ(米)34歳。戦跡25戦21勝7KO 4敗、ニックネームはマエストロ(職人)。2014年4月日の出の勢いのダニー・ガルシアに疑問の残る判定で惜敗、豪打のルスラン・プロポトニコフの全勝に土をつけている異能ボクサーの一人である。
挑戦者はホセ・ヘナビデス(米)22歳、戦跡21戦全勝15KO、アマチュアでは125戦120勝5敗。
1R ヘレラ左ジャブを上・下に打ち分けて主導権を握る。右ストレート顔面にヒット。
2R ヘナビデス自分の得意とする中間距離を保とうとするがヘレラは左ジャブを多用し て入り込む。
3R ヘレナ左ジャブで追いかけヘナビデス ガードを固めてカウンターを狙う。
4R 状況は変らずヘナビデス ロープに詰まるパチーンが続く、
5R ヘナビデス序々にリング中央で闘うようになる。パンチは正確だがいかんせん手数が少ない。
6R ペースは次第にヘナビデスに傾く。左右のボディ打ちがヘレラの勢いを削いでいくようだ。
7~9R 手数のヘレラとパンチのヘナビデスで推移。
10R ヘナビデスの正確で強いパンチが優勢となり、11R 左右のボディ打ちでヘレラ弱まる。
12R お互いに死力を尽して打ち合う中で終了。
判定は112:116が4人でヘナビデス チャンピオンとなる。ヘナビデスは固いガードでしっかりと防御し、相手の打つ隙を狙って的確なパンチを打ち込む。。
冷静さを持って焦ることなく闘う若さに似合わない頭の良さを感じた。今後が楽しめる選手である。曲者ヘレラも若き才能に脱帽といったところ。
カナダ ケベック州ケベックシティ・コリデ・ドウ・ケベック(2015年2月2日)。
リングアナ ジミーレノンJR。
WBC L・ヘビー級タイトル・マッチ、チャンピオン アドニス・スティーブンソン(カナダ)37歳 サウスポー。
戦跡25戦24勝20KO 1敗、4度目の防衛戦。ニックネームは「スーパーマン」。
挑戦者はドミトリー・スコーッキー(ロシア)33歳。挑戦者は24戦22勝16KO 2敗、ニックネームは「ハンター」。
1R スコーッキー上体を後に反らして右拳を顎にしっかりと当てゝ、スティーブンソンの左強打に備える。互いにパンチの交換はなく探りあいで終わる。
2R スティーブンソンの左ストレート不十分ながら顔面にヒット、その後押し倒す形となったが、スコーッキー ダウンと判定される。
3~4R スコーッキー劣勢を挽回すべく積極的に前に出るが、互いに有効打なし。
5R スコーッキー攻撃中心に切り替えて体勢を前がかりとし、前に出ようとしたところへ、左ストレートでスコーッキー ダウン。立ち上がったところに再度の左ストレートで3度目のダウン。その後集中打でKO。
このクラスには2団体王者の全勝セルゲイ・コバレフがいて、3団体統一戦の気運が盛り上がってくる事であろ
う。コバレフは31歳。27戦26勝23KO 1分のハードパンチャーでボクシングも巧い。
会場 ネバダ州ラスベガス・コスモポリタン・オブ・ラスベガス(2015年1月19日)
WBOミドル級王座決定戦マット・コロボフ、同級1位(ロシア)31歳。 戦跡24戦全勝13KO。
対戦者アンディー・リー、同位4位(アイルランド)30歳、戦跡35戦33勝23KO 2敗
1R コロボフ コンパクトのパンチを振って有効。
2R~5Rまでコロボフ優勢に試合をすすめる。
5R 乱打戦の中リーの右フックで形勢逆転、次く連打でレフリーストップ。TKOでリー王座につく。
リーは 前戦ジョン・ジャクソンに6R逆転KOに次ぐ、今回も逆転で王座についた。
会場ネバダ州ラスベガス・コスモポリタン・オブ・ラスベガス(2015年1月19日)
ウェルター級12回戦 ティモシー・ブラッドリー(米)31歳、戦跡33戦31勝12KO 1敗1無効試合。 Sライト・ウェルターの2階級制覇している。12年6月パッキャオを接戦の末に下してウェルターのタイトルを獲得する。ニックネームはデサート・ストーム(砂嵐)。1敗は再戦でパッキャオに敗退。
対戦者ディエゴ・チャベス(アルゼンチン)28歳、戦跡25戦23勝19KO 2敗。
14年8月有利に試合をすすめていたブランドン・リオス戦に反則敗けを喫している。
ニックネームはラ・オーヤ(宝石)。もう1敗はキーヌ・サーマンである。
1R チャベス打って出る。迫力満点。
2R 前戦のパッキャオ戦同様に対抗して打って出る。チャベスに力で勝負する。
6Rまでブラッドリーが握る。
9R からブラッドリー疲れて次第にペースはチャベスに移ってくる。
12R ブラッドリーの左目の下腫れがひどくなり何とか持ちこたえて互いに決定打なく終了。
判定は116:112チャベス、115:113ブラッドリー、114:114でドロー。
ブラッドリーは自分の特長であるスピードと手数で勝負することなく、強打のチャベスと真っ向勝負を挑んだが後半失速して、かろうじて引き分けに持ち込んだ。
矢張りスピードある連打で闘っていくのが正解のようだ。
会場ネバダ州 ラスベガスMGGグランドガーデン・アリーナ (2015年1月19日)
WBA暫定ウェルター級タイトルマッチ
王者 キース・サーマン(米)26歳
戦跡24戦23勝21KO1無効試合
挑戦者レオナルド・ブンドゥ イタリア 40歳
戦跡33戦31勝11KO2分
1R サーマンの左アッパーでブンドゥダウン
早い回で終わりそうであったが、ブンドゥ防御が固く、プレッシャーをかけ続けて対抗し、サーマンに決定打を許さずに12Rまで戦う。判定は3者とも120:107のパーフェクトでサーマンの勝利となったがブンドゥもよく戦った。
会場ネバダ州グランド・ガーデン・アリーナ (2015年1月12日)
ウェルター8回戦 68.49kg 契約
亀海 喜寛 32歳 IBFウェルター級13位 米で5度目の試合である。
戦跡27戦24勝21KO 2敗1分。2014年6月3階級制覇王者ロバート・ゲレロと対戦、善戦するも惜敗。ニックネームは「マエストロ」(職人)。
対戦者オスカー・ゴドイ(米)24歳。戦跡16戦13勝6KO 3敗、ニックネームは「エル・ティグレ」(米)24歳。
1R 亀海しっかりとガードを固めて圧力をかけ前進、ロープに詰めボディ中心に攻め、右ストレートでゴダイ、ダウン。
2R 左・右の連打で2度目のダウン。
3R 未だ相手の足が動いているのをみてボディを重点的に攻め、4R左からの右ストレートで3度目のダウンを奪ってKOに下す。
実力差がありすぎた。
会場ネバダ州グランド・ガーデン・アリーナ(2015年1月12日)
Sフェザー級10回戦
アブネル・マレス 元3階級王者、バンタム、Sバンタム、フェザー、2005年アテネ五輪出場、順風満帆にスター街道を驀進したが、ジョニー・ゴンザレスに痛恨の1R KOに敗れてタイトルを失った。戦跡29戦27勝14KO 1敗1分 29歳(メキシコ)。
対戦者 ホセ・ラミレス、27歳(メキシコ)、戦跡29勝24勝15KO 3敗2分、ニックネームは「ネグロ」。現フェザー級王者ワシル・ロマチェンコのプロ転向第1戦で、対戦4RKOに敗れている。
1R マレスのボディブローでラミレス、ダウン。ダメージは無いようだ。
2R ラミレス前に出る。マレスは打っては動く、マレスのパンチは的確である。
3R 劣勢を取り返すべくラミレス前進してパンチを振るうが的中率が悪い。マレスは正 面から打ち合い、連打の後は必ずボディ打ちを忘れない。連打の後の左フックでラミレス、ロープに腰を落としてダウンをとられる。
4R ラミレス挽回を図って前に出るが、パンチの精度が低く、マレスが、相手の防御の空いたところへの正確なパンチが目立ち、ボディ打ちが有効。
5R 右から返しの左フックでラミレス ダウン、立ち上がったところへ、思い切ったマレスの大振りのフック3連発が決まり、この回終了時でラミレス ギブアップ。
マレスTKO勝ち。マレス、トップで戦線に止まった。
会場ネバダ州グランド・ガーデン・アリーナ (2015年1月12日)
ウェルター級12回戦
アミール・カーン(英)28歳、戦跡32戦29勝19KO
3敗。17歳でアテネ五輪で銀メダル。WBCウェルター級1位、元WBA・IBF Sライト級王者、ニックネームは「キング・カーン」。ダニー・ガルシアに敗れてタイトルを失う。フレディ・ローチからバージル・ハンターにコーチを替え、攻撃中心から防御に力を入れるようになる。一次の低迷から脱したようである。
対戦者デボン・アレキサンダー(米)27歳、サウスポー、ニックネームは「アレキサンダー・ザ・グレイト」、戦跡28戦26勝14KO 2敗。元2階級制覇王者、2014年2月ショーン・ポーターに判定敗けでタイトルを失う。豪打のマイダナとマライヤに真っ向勝負で打ち勝ったことで過度の自信を持ち、無名選手に調子を落として敗れたものである。
このクラスは実力者揃いで2人とも生き残りをかけた戦いである。
1R カーンスピードと手数で主導権を握る。距離は2人とも同じで左と右のリードパンチが勝負を分けているようだ。
2R 2人ともスピード自慢だがカーンの方に軍配は上がり、アレキサンダーの右リードが少ない。
3R アレキサンダーは自慢のスピード豊かな右リードで相手をコントロールし、左のカウンターで勝負するスタイルだが、カーンの左ジャブの速さと手数に自分のリズムがつくれずに遅れをとっている。
4R 以降カーンのスピードは12Rまで衰えることなく、パンチの正確さは無いが相手の攻撃を封ずる効果はあり、防御も以前に比べて向上しており、アレキサンダーの反撃を赦さないで終了。
判定は119:109、118:110、120:108とカーンの圧勝であった。お互いに有効なパンチは無く、手数でカーンが各ラウンド上回ったことが評価されたものである。アレキサンダーはカーンにスピード敗けしたことと、カーンの勝負に徹して攻撃一辺倒に走らなかったことから攻め手を見出せなかったことが敗因であった。
これでカーンはフロイド・メイウェザーへの挑戦者に名乗りを上げたことになる。
メイウェザーにとって難敵と思われるのはパッキャオを別格とすれば、スピードと手数のカーンとカウンターのティモシー、ブラッドリーであろう。
会場 アメリカ ネブラスカ州オマハ・センチュリーリングセンター( 2014年12月15日)
IBFフェザー級タイトルマッチ、チャンピオン イフゲニー・グラドビッチ(ロシア)28歳、戦跡19戦全勝9KO。挑戦者ジェイソン・ぺレス(プエルトリコ)26歳。
戦跡22戦全勝16KO。
1R グラドビッチ上体を振って、前進し手数が多い。ペレスは左ジャブで懐に入れないように闘う。
2R ペレスは威力あるパンチを角度を決めて振るおうとするが、その前に懐に入られる
状況。
3~4R 変らず。
5R ペレス、一転してボディブローを主体に切り替える。グラッドビッチこれを嫌がる。
6R ペレスのボディ打ちが効果を見せ始めるがグラドビッチ何とかごまかして、
手数で対抗。
7R ペレスのパンチは有効であるが何せ、グラドビッチの手数の多さに手を焼く。
8~12R 状況は変らずにやゝペレスのペースに変りつゝあるなかで終了。
判定117:111、115:113、114:114と3者3様の引き分け防衛となった。
グラドビッチは手数は多いしボクシングはうまいが、何せパンチ力がなく、決め手に欠け、ペレスは顎を上げて闘う為に再三弱いパンチにも顎が上げられ、打たれ方が悪すぎる。タイトルマッチにしては凡戦であった。
このクラスには強豪ニコラス・ウォータースが居り、まるで別のクラスかと思われる程の力の差があるようだ。
アメリカ ネブラスカ州オマハ・センチュリーリングセンター。2014年12月15
WBO ライト級タイトルマッチ。チャンピオン テレンス・クロフォード(米)27歳。
戦跡24戦全勝17KO、今年3月4度防衛中のリッキー・バンズを倒してタイトルを握るや初防衛戦で全勝の「カリブのサイクロン」ユリオルモス・ガンボアを4度のダウンを奪った末に9R KO勝ちして人気・実力急上昇中のスーパースター候補の筆頭である。
ニックネームはハンター。
挑戦者はレイムンド・ベルトラン(メキシコ)33歳、同級1位。
戦跡36戦29勝17KO 6敗1分、初挑戦でリッキー・バーンズと闘い、ダウンを奪いながら引き分けており、叩き上げの実力者。パッキャオのスパーリングパートナーを長く務めていた。ニックネームは(シュガー)華麗なの意。
1R クロフォード右構えでスタート、左ジャブが鋭い、頭が小さく、動きが早く、パンチはシャープ、ベルトラン、プレシャーをかけて前進するが手数は少ない。
2R 途中クロフォード左構えにスウィッチ、右に廻って右ジャブ、右フックで対応。
3R ベルトラン、クロフォードをロープに詰めて攻勢を掛けるが、体を入れ替えてクロフォード集中打。
4R クロフォードの早い右ジャブに悉く、出鼻を叩かれてベルトラン前進するも手が出ない。
5R ベルトラン挽回を図って攻撃に転ずるがクロフォード、足を使って右ジャブで躱す。
6R ベルトラン前進するが打たれて、自分のパンチは当たらない。
7R クロフォード、プレッシャーをかけてベルトランをロープに詰めて攻勢。ベルトラン、カウンターを恐れて反撃できない。
8R ペースは完全にクロフォード。ベルトランが打たないとみるや、ロープに詰めて攻撃。ベルトランが反撃に出ると足を使って相手をせず。
9R クロフォード、自分の距離を保ってアウトボクシングに徹する。
10~12R クロフォード KOを狙って相手をロープに詰めて集中打を浴びせるがそのまま終了。
判定は120:108、119:109が2人でクロフォードの完勝であった。
クロフォードはガンボア戦で恐るべき強さをみせたが、この試合では巧みさを存分に見せて相手を翻弄し、自由自在なボクシングを披露した。
構えは試合中に左・右にスウィッチ、違和感がない。動きが早く、勘も良い、パンチも鋭く、切れ味抜群、スタミナも充分で中量級ナンバーワンのスター候補にのし上がった。
今後が益々楽しみな選手である。
バレトランは完敗したが攻撃力も、スタミナもあり恐るべき選手であり、防御も巧み、雑草魂を持った逞しい巧選手である。
会場 アメリカ ニュージャージー州アトランティックシティ ボードウォーク・ホール。
WBOインター・コンチネンタル・ウェルター級タイトルマッチ 10回戦 66.68kg。
チャンピオン サダム・アリ WBOウェルター級6位(米)26歳。戦跡20勝全勝12KO、09年北京五輪出場、ニックネームは「ワールド・キッド」。
挑戦者ルイス・カルロス・アブレグ(アルゼンチン)30歳、同級4位、戦跡37戦36勝29KO 1敗、この1敗はあのティモシー・フラッドリーである。
1R お互いに様子見でパンチの交換はなし。
2R アブレグ前に出ようとするところへ アリの左フックのカウンターでアブレグ ダウン。
3R アリはカウンターパンチャーで自分から打って出ないタイプ。お互いに打ちに出ないところから観客のブーイングを浴びる。
4R アブレグは打ち合うタイプで接近すると、アリのカウンターが待ち構えており、足も速くなかなか射程距離に入らず、体の動きも俊敏で捉える事が出来ない。
5R アリ防御主体のラウンドでほとんど手を出さずに終わる。
6R コーナーで発破をかけられたアリはアブレグが不用意に出るところへ右ストレートのカウンター。見事に決まってアブレグ2度目のダウン、アリ一転して猛攻にでる。
7R アブレグ劣勢を挽回すべく攻勢に出るとアリ、対抗せずに足を使って躱す。
8R アブレグ一段と攻勢を強めるがパンチに威力がなく、アリのカウンターの的となる。
9R アリの右ストレートのあと、いきなりの右ストレートでアブレグ3度目のダウン。
立ち上がったところへの集中打でレフリー ストップ。アリのKO勝ちとなる。
このクラスにはフロイド・メイウェザー、マニー・パッキャオ、若手のキース・サーマンと錚々たる強豪揃いがいて、そこに割って入るのは困難なクラスである。
今のアリはアブレグのプレッシャーで後退を続けているようではとても対抗できないであろう。ボクシングセンスの良さは確かに持っているが、如何せん線が細い。カウンター頼りだけではこれ以上大成するのは難しい。
会場 アメリカ ニュージャージー州アトランティックシティ ボードウォーク・ホール
WBA、IBF、WBO L・ヘビー級統一戦タイトルマッチ(79.38kg)、WBA、IBFチャンピオン バーナード・ポプキンス(米)49歳、戦跡65戦55勝32KO 2分2無効試合、ニックネームは元エクスキューショナー(死刑執行人)、今はエイリアン。
ミドル級で9年に亘り20度の防衛を続けた絶対王者で2004年オスガ・デラボーヤを破って4団体を統一しており、最年長世界王座獲得記録を保持している。
対戦者 WBOチャンピオン セルゲイ・コバレフ(ロシア)31歳。戦跡26戦25勝23勝23KO 1分、現在9連続KO中、ニックネームはクラッシャー(破壊者)。
セコンドにポプキンスのミドル級4度目の対戦相手だったジョン・ディビット・ジャクソンが据えている。
1R 強打と体力に優れるコバレフが左ジャブを突いてプレッシャーを掛けロープに詰めるところ、圧力にたまらず前にでたJポプキンスに右ストレートのカウンターが決まりポプキンス ダウン。
2R ポプキンス真面に打たれないようにディフェンス重視で闘う。コバレフは左ジャブで距離を一定に保って、なお、プレッシャーを掛け続ける。
3R コバレフ優勢に試合を進めるが、ポプキンスは巧みな防衛でパンチを悉くかわす。
4R コバレフ一貫してプレッシャーを掛けるが、しかし慎重にポプキンスの右ストレートを警戒しながら深追いすることなく闘う。
5R ポプキンス、コバレフの強打をほとんど打たせない巧みさをみせる。
6R コバレフは相変わらず優勢を保つが戦いずらさを感じているようである。得意の強打が封じられ ているからだ。
7R 変らず。
8R ポプキンス攻勢に出るところに、コバレフの右クロスカウンターでポプキンスぐらつく。
9R コバレフの右ストレートに一段とシャープさが増してくる。
10~11R ポプキンスも反撃に出て右ストレートも数発当てるが大勢はコバレフ。
12R コバレフ、ラッシュを掛けて集中打にポプキンス、ダウン寸前に追い込まれるところでゴング。
判定は120:107が2人、120:106が1人でコバレフの完封勝ちであった。
コバレフは単なる強打者だけでなく、ポプキンスの老獪さを封じ込めて、相手に何もさせずに試合をすすめた試合巧者振りをみせた。
自分の距離を常に保ち、左ジャブで相手をコントロール、右も力6分で程で打って、スタミナも考慮して万全の試合運びでの巧さを発揮することが出来なかった。
しかし 11Rまでコバレフの強打を封じての巧みさは充分に楽しませてくれた。これまで引退するような事なく、リングに上がって欲しい選手である。これでコバレフはこのクラス最強となり3団体を統一、残るはWBCのスーパーマンことアドニス・スティブンソンとの対戦を残すのみである。
会場 モナコ・モンテカルロ・サル・ドウ・エトワール。
IBF バンタム級王座決定戦 ランディ・カバジェロ(米)24歳 IBF同級1位。戦跡21戦全勝13KO、ニックネームは「マタドール」、デラボーヤ・プロモーションの秘蔵っ子である。目下5連続KO、TKO中。
対戦者スチュアート・ホール(英)34歳、IBF同級3位、元IBFバンタム級チャンピオン、ニックネームは「スチューウィ」、戦跡21戦16勝7KO 3敗2分。バンタム級トップ戦線はWBAスーパーにファン・カルロス・マヤノ(ドミニカ)、WBAにジェイミー・マクドネル(英)、WBCに山中慎介、WBOに亀田和毅がいる。
1R 出だしから両者頭をつけて打ち合う、互角。
2R カバジェロ左ジャブのカウンターから右ショート・ストレートでホールダウン。ホール手数を多く出し、頭をつけて押し合い、この回を凌ぐ。
3R お互いに頭を付けてショートレンジの打ち合い、押し負けないように意地の張り合い。
4R カバジェロ、頭を付けた押し合いを避けてアウトボクシングを始める。ホールは変らずに前進あるのみ。
5R 序盤はカバジェロ、距離をとって闘うが中盤以降、接近戦に巻き込まれる。ローブローでカバジェロ ダウン。
6R 序盤はカバジェロ、中盤以降はホール。
7R 4Rからの推移は変らず、カバジェロ、ロープに詰まることが多くなる。ホールの手数が断然で多い。
8R、9R ホールはプレッシャーファイターでカバジェロ体力で押し込まれる。
10R以降、カバジェロはアウトボクシング、時折ロープに釘付けとなり、ホールの集中打を浴びる。
12R 頭を付けた打ち合いの中で終了。
判定は118:110が1人、116:111が2人でカバジェロ王座につく。カバジェロは3Rまで接近戦で優勢に立とうとするがホールの頑張りと体力、手数の多さに体力の消耗を避けてアウトボクシングに戦術を変更、しかし体力的に押しまくられて守勢に立たされた4.ホールは手数は多いものの的中率に劣り、単調であることと、パンチ力が無いことが致命的で、カバジェロのパンチの多彩さと、的中率の高さに屈したがさすが元チャンピオンの意地はみせた。カバジェロは前評判に比してパンチのスピード及び切れがなく、身体的なひ弱さがみられて、チャンピオンとしては物足りない。
会場 マカオ ベネチアン・リゾート・コタイ・アリーナ(2014年11月23日)
WBOウェルター級タイトルマッチ チャンピオン マニー・パッキャオ(フィリッピン)35歳、戦跡63戦56勝38KO 5敗2分。今年4月、タイトルを失った相手ブラッドリーに雪辱してチャンピオンに返り咲いた。ニックネームはパックマン。
会場は15,000席満員、入場料は一番高い席で36万円、パッキャオのファイト・マネーは25億円である。
挑戦者はクリス・アルジェリ(米)30歳。WBO・Sライト級チャンピオン。豪打のプロポトニコフを大番狂わせで敗って一躍スターダムにのし上がってきた選手である。
戦跡20戦全勝8KO、今回のファイト・マネーは1.5億円。
パッキャオとのリーチ差は13cmもあり、完全なるアウトボクシングの選手で、足が早く自分のパンチは相手に当たれば良いというテクニックの持ち主である。逃げ回られて、長いリーチを使って距離を取られるとパッキャオも苦戦するのではないかと見られていた。
1R パッキャオ圧力をかけて攻勢に出る。アルジェリは予想通り下がりながら長い左ジャブを繰り出す。
2R アルジェリ ブロックの上からパッキャオの強打を受けて一度目のダウン。
3R パッキャオの攻勢変わらずアルジェリ逃げる。
4R アルジェリの左目下腫れ始める。
6R パッキャオの左ストレートでアルジェリ2度目のダウン。立ち上がったところへ今度は右ストレートでアルジェリ3度目のダウン。
9R 左ストレートのカウンター強烈でアルジェリ4度目のダウン。あと連打で5度目のロープダウンをとられる。
10R 右ストレートで6度目のダウン。
11~12R パッキャオ相手を追いかけアルジェリ逃げ回るうちに終了。
判定119:103が2人、120:102が1人でパッキャオの圧勝であった。9Rのダウンの際アルジェリは立ち上がったもののファイティングポーズを取れないままに試合を再開させたレフリーに問題があり、この時点で試合続行は意味がなく、危険ですらあった。
それにしても対ブラッドリー戦の時よりもパッキャオの状態は良く、完全復活したと見て
良いようだ。
会場 マカオ・ベネチアン・リゾート・コタイ・アリーナ (2014年11月23日)
WBOフェザー級タイトルマッチ。チャンピオン ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)26歳。戦跡3戦2勝1KO 1敗。2戦目に世界戦初挑戦。オルランド・サリドに敗れるが3戦目にゲーリー・ラッセルを下して戴冠。
北京、ロンドン五輪金メダリスト。世界選手権3連覇、アマチュアの戦跡396勝1敗のサラブレットでボクシング界の金の卵である。サウスポー、アマチュア史上最高の選手と言われる。
対戦者はチョンラターン・ビリヤピニョー(タイ)戦跡53戦52勝33KO 1敗。1敗は長期政権を誇ったクリス・ジョンに敗れたもの。
1R ロマチェンコ 右アッパーを顔面に、左ボディブロー2発と順調に滑り出す。
2R 挑戦者圧力を掛けて出てくるが、出鼻を右ジャブ、左ストレートで叩き接近を許さ
ない。
3R 挑戦者はチョンラターン前に出るが手を出す前に打たれ、ロマチェンコの優劣は益々明らかとなる。
4R 右アッパーからの多彩な連打でチョンラターン ダウン。
5R ロマチェンコ集中打で倒しにかかるが、チョンラターン何とか持ちこたえる。
6~7R 同じような推移で進行。
8R ロマチェンコ左拳を痛めたのか、以降右手一本で試合を続行、それでも右アッパーでKOを狙う、がそのまま終了。判定は120:107(3者とも)の完勝であった。
相変わらず高度なテクニックと圧力を増したパンチ力はまだまだ強くなりそう。
軽量級の花形である。
会場 ドイツ・ハンブルク ワールド・アリーナー (2014年11月17日)
WBAスーパー、IBF、WBO 3団体チャンピオン ウラジミール・クリチコ、17回目の防衛戦1996年アトランタ五輪金メダリスト(ウクライナ)38歳、戦跡65戦62勝53KO 3敗。8年間王座に君臨ヘビー級絶対王者である。
ニックネームはスチール・ハンマー。
挑戦者はクプラド・プーレフ(ブルガリア)33歳。戦跡20戦全勝11KO 、ニックネームはコブラ、2008年北京五輪出場。
1R プーレフ攻勢に出て、お互いにパンチの交換ある中で、クリチコの左フックにプーレフ、ダウン。立ち上がったところへ再び左フックにプーレフ2度目のダウン、足許ふらつく。
2R 小康状態が続いて、お互いにパンチ出ずに終了。
3R クリチコの右ストレートに次ぐかえしの左フックでプーレフ3度目のダウン、プーレフ左目の下腫れる。
4R 攻防なし。
5R クリチコの左フック一発でプーレフ4度目のダウン、強烈でそのままKOとなる。
従来のクリチコの試合と異なり、距離が近く左ジャブが極端に少なかった。練習中に右上腕部を痛めて試合が2ヶ月延期となったことと傷が完全に癒えたかが、この試合に影響したかも知れない。今後、WBA 1位のデオンティ・ワイルダーの長い右ストレートがクリチコの唯一の脅威となるか。何しろ、クリチコの弱点は必ずしも打たれ強くはないところだから。
会場 モスクワ・ダイナモパレス・オブ・スポーツ (2014年11月14日)
WBCクルーザー級タイトルマッチ。チャンピオン クシシュトフ・ウロダルチェフ(ポーランド)。戦跡49戦46勝35KO2敗 1分 33歳。
挑戦者グリゴリー・ドローズド(ロシア)戦跡38戦37勝27KO 1敗、同級4位。チャンピオン7度目の防衛戦である。
1R ウロダルチェフ、グラブで両クラブでしっかりと顔面にをカバーし防御を固めて自分の距離になったら攻撃を仕掛けるスタイルのようだ。この回ほとんど手を出さない。
2R ドローズド、アウトボクシングで距離をとり左ジャブ、右ストレートで攻勢。ガードの上を叩く。
3R ドローズド、左右のパンチを数多く繰り出してガードを崩しに掛る。距離が違う為がウロダルチェクののパンチは少ない
4R ウロダルチェフ、左を出し始めて攻撃を開始。このRまでの判定は3者とも49:47でドローズド優勢と出た。
5R 相変わらずドローズドは相手のガードが堅いのをみて軽いパンチを数多く出してガードの上でもかまわず叩く
6R ウロダルチェフ、ガードを固めて攻勢に出ようとする前にドローズド、先手を打って出鼻を叩き、接近するとクリンチで相手の攻撃を許さない。ウロダルチェフいきなりの右を内に行ってドローズドのカウンターをもらう。この試合一番の有効打。
7R 軽いが多彩なパンチを振いその間に左フックのボディ打ちもまじえてドローズド調子にのってくる。ドローズドバッティングで右目上カット
8R ドローズドの軽い左ストレートでウロダルチェクダウン、ガードの上とはいえ、打たれ続けたダメージが蓄積していたのであろう。ウロダルチェク右目上切る。
9R ウロダルチェク後退を始めロープに詰まり、一方的展開となる。
10~12R ドローズドの優勢のまま終了。
判定は118:109が1人、あとの2人は119:108でドローズドの圧勝でウロダルチェクの2010年5月以来守ってきた王座は6度で終了。チャンピオンの交代となった。
クルーザー級は90.72Kgリミットでヘビー級の陰に隠れて日の当たらない階級でもあり、人気も今一でスター選手の排出も少ない。華やかなスターの出現が切に望まれるところだ。この試合も途中から観客のブーイングに見舞われていた。
① WBC フライ級チャンピオン ローマン・ゴンザレス (ニカラグア)27歳
ニックネームはエル・チョコラ・ティースト(小さいチョコレート)。ミニマム ライトフライ級と会わせて3階級制覇している。
戦跡40戦全勝34KO。アマ87戦全勝でプロアマ通算して127戦して全勝である。軽量級の怪物で無尽蔵のスタミナと連続して繰り出す多彩で何れも強力なパンチ力。巧みな防御、一気に畳み掛ける迫力、全てに超一流であまりの強さに対戦相手がいない現状である。WBCフライ級チャンピオンであった五十嵐選手が対戦を決意したとき、ジムの藤沢秀行会長が「人間が神に挑戦する闘い」と評して、五十嵐の快挙を讃えた程である。
②WBC Sバンタム級チャンピオン レオ・サンタクルス(メキシコ)25歳
ニックネームはテレモト(地震)、戦跡28戦27勝15KO 1分、
手が長く、ガードが固くしかも良く手がでるファイター型のボクサーでメキシコ人特有のアッパーのボディ打ちを得意としている。相手があまりのしつこさに音をあげるまで打ちつづける好戦的選手、人気上昇中である。
③WBA フェザー級チャンピオン ニコラス・ウオータース(ジャマイカ)28歳
戦跡25全勝全勝21KO、身体能力抜群、体幹が強く、長身で手が長く、常にガードを高く揚げると、顔面、ボディが全部カバーできる。そのガードを揚げて前進し自分の射程距離に入ると左の早く強いジャブを連発して打ち、相手をコントロール、右は強烈、かっての名選手ガーナのアイク・クォーティを髣髴とさせるスタイルと闘い方で闘い、ビック・ダルチニヤン、スターのノニド・ドネアを連続してKOに下して一躍スターダムにのし上がった。3階級制覇も可能であろう。実力派チャンピオンである。
④WBO ライト級チャンピオン テレンス・クロフォード(米)26歳、
ニックネームはハンター、戦跡23戦全勝16KO、スイッチヒッターでバランスの良い、万能型のボクサースタイリッシュなアップスタイルで、足も速くパンチも多彩。その切れ味も抜群、カウンターも巧い、軽量級の雄。同じく全勝の「カリブのサイクロン」ことスピードと出入りの早さで敵なしだったキューバのユリオルキス・ガンボアを一方的にKOで下して、前評判通りの実力を天下に示した。華もありスーパースター候補の一角である。
⑤Sライト級 無冠のルーカス・マティセ(アルゼンチン)31歳
ニックネームはマシーン。戦跡40戦36勝34KO 3敗1無効試合。
頂上決戦でダニー・ガルシア戦に惜敗してタイトルを失うが85%のKO率を誇り、その強打と防御勘の良さ、試合の組み立ての巧さと詰めの良さは依然として中量級の雄としての光彩を失っていない。同級にはWBAスーパー、WBCチャンピオンのダニー・ガルシアがいる。WBAチャンピオンのジェシー・バルガス(24戦全勝9KO)がいるがパンチ力もスタミナもない平凡な選手である。WBOはクリス・アルジェリ(19戦全勝8KO)、ルスラン・プロポドニコフに判定勝してチャンピオンとなるが、その判定には疑問の声が多い。手数が多く、足は速いがパンチ力は全くない。
⑥IBF Sライト級チャンピオン レイモンド・ピーターソン(米)30歳
父親は犯罪者で服役、母親は育児放棄で少年時代は弟と路上生活を送っている。ボクシングスタイルはスマートなボクシングでパンチは的確、足も速く、高度なテクニシャンである。戦跡は35戦32勝16KO 2敗1分。
⑦WBA ウェルター級チャンピオン キース・サーマン(米)25歳
ニックネームはワン・タイム、戦跡23戦22勝20KO 1分。左アッパーのボディブローを得意としているが、全体的に各パンチのスピードと威力は十分。右を打つときに左ガードが下がるのが気になるが華があるスター選手である。強豪ひしめくウェルター級戦線に割って入るかフロイド・メイウェザー、マニー・パッキャオ、ファン・マヌエル・マルケス等がいる。
⑧WBO ウェルター級 無冠 ファン・マヌエル・マルケス(メキシコ)40歳
ニックネームはダイナマイト。戦跡64戦56勝40KO 7敗1分、元4階級制覇チャンピオンである。Sフェザー級時代からマニー・パッキャオと4度に亘る激闘を演じ1勝2敗1分の成績であるが4戦目の衝撃的な右ショートストレートのカウンターでパッキャオをKOした試合は忘れ難い。カウンターの名手で様々な強豪と歴史に残る激闘を演じているメキシコの英雄。
⑨ウェルター級 無冠 エイドリアン・ブローナー(米)25歳
ニックネームはプロブレム(問題児)、戦跡31戦29勝22KO 1敗1無効試合。強打と抜群のセンスの良さ。L字ガードでメイウェザー2世の呼び声高く、攻撃力はメイウェザー以上と評価されていたが、自己過信から相手を嘗めて掛かるところがあり、豪打のマルコス・マイダナに2度のダウンを奪われ不覚の1敗を喫して評価を下げたが、そのボクシングは客を魅了するスーパースターパーであることは変わらない。
⑩WBA ミドル級チャンピオン ダニエル・ジェイコブス(米)27歳
戦跡29戦28勝25KO 1敗分。1敗のあと骨肉腫を発症し、大手術のあとリハビリに励み驚異の復活を果たした。左ジャブ、右ストレート、左右フック、アッパーと攻撃は多彩、スイッチヒッターでもあり、常に相手を冷静に分析する能力にもたけており負ける可能性の少ない強豪である。
⑪WBCミドル級チャンピオン ミゲール・コット(プエルトリコ)33歳
Sライト・ウェルター、Sウェルターとしめて4階級制覇のチャンピオンである。
メイウェザー、アントニオ・マルガリート、マニー・パッキャオ、シャーン・モズリー等幾多の強豪と拳を交える歴戦の雄で今日に至るも中量級の中心の一角を占めている。戦跡43戦39勝32KO 4敗、攻防兼備の強打者である。
⑫WBC Lヘビー級チャンピオン アドニス・スティーヴンスン(米)36歳
ニックネームはスーパーマン、戦跡24戦23勝20KO 1敗。スター街道を驀進していたチャド・ドーソンを1R左フック一発でKO、チャンピオンとなった遅咲きの強打者である。2013年度のファイター・オブ・ザ・イヤーに選ばれている。サウスポーの強打者で駆け引きのない一発屋である。
⑬ヘビー級 無冠 デオンティ・ワイルダー(米)28歳
ニックネームはブロンズ・ボマー(オリンピック銅メダリスト)戦跡31戦全勝全KO。対戦相手が無名選手が多く、これからが正念場であるがヘビー級に久々に現われたアメリカの希望の星である。
⑭Sウェルター級チャンピオンWBA エリスランディ・ララ(キューバ)
戦跡22戦19勝12KO 1敗2分 7月にサウル・アルバレスと対戦し惜敗したが、この試合は中盤以降ヒット・アンド・アウェーの戦術でアルバレスを翻弄、足が速く、試合運びの巧みな、パンチを当てるのがうまい完全なテクニシャン。
⑮WBO フェザー級チャンピオン ワシル・ロマチェンコ
戦跡2勝1敗。北京、ロンドン五輪金メダリスト。オルランド・サリドに挑戦したが敗れており2度目のタイトル・マッチにてチャンピオンとなる。流石にテクニックは素晴らしく、すべるような足捌きとジャブの早さ、当てる勘も良いが如何せん非力で今のジャブの威力ではオルランド・サリドのようにパンチの威力と突進力のあるボクサー相手には対抗できないと思われるが試合を重ねていくに従いプロの水になじめるか。
会場 ロシア モスクワ ダイナモ・パレス・オブ・スポーツ.(2014年11月10日)
WBAクルーザー級タイトルマッチ チャンピオン デニ・レベデス(ロシア)35歳。
戦跡27戦25勝19KO 2敗。最盛期を過ぎたとは云え、ミドル級からヘビー級を制したスーパースター、ロイジョーンズJr.を10Rに下し、次いでジェームス・トニーを判定に下し一躍世界に名を知らしめた。
対戦者はバベル・ゴロズィー(ポーランド)34歳。戦跡33戦全勝18KO、ニックネームは「ハルナス」。クルーザー級のトップ戦線はWBAはレバデフ、WBCはクシシェドフ・ウロダルチェク(ポーランド)、IBFはコアン・パブロ・エルナンデス(ドイツ)、WBOはマルコ・フック(ドイツ)である。
1R レベデフは一年半振り、3度目の防衛戦である。レベデフ、前進しプレッシャーをかける。ゴロズィーは距離をとって左ジャブを突き距離を計ってアウトボクシングの構え。
2R レベデフはプレッシャーを掛けて左ストレート、顎に1発でKOにゴロズィーを下す。
会場 メキシコ ロス・モチス・セントロ・デ・ウソス・ムルティプレス(2014年11月10日)
WBCフェザー級タイトルマッチ チャンピオン ジョニー・ゴンザレス(メキシコ)33歳、戦跡64戦56勝47KO 8敗。2013年アブネル・マルスを1RKOに下してチャンピオンとなり今回2度目の防衛戦である。ナッチョ・ベルスタインにトレーナーを変更しリカルド・ロペスに良く似たアップスタイルに変えている。
対戦者ホルセ・アルセ(メキシコ)35歳、戦跡74戦64勝49KO 7敗2分1無効試合。
元5階級制覇チャンピオン(L・フライ~Sバンタム)ニックネームは「トラビエソ」(やんちゃ坊主)。
1R お互いに相手の出方をみて静かに立ち上がる。
2R アルセ積極的に出始める。ゴンザレス、アルセが頭を下げて出るところに左・右 アッパーで起こす。
3R バッティングでアルセ左目上を切る。打ち合いの中でゴンザレス得意の左フックでアルセ、ダウン。
4R アルセ連打で攻撃に出るがゴンザレス、カウンターで迎え撃つ。
5R アルセ攻撃中にゴンザレス、右アッパーに次ぐ左フックでアルセ2度目のダウン。
6R、7R アルセ接近戦を挑むが、ゴンザレスのアッパーに入りきれず。
8R アルセ ダメージ深く、手数は減り一方的な展開となり、
9R ショートの左フックでアルセ3度目のダウン。
11R 小康状態が続く中、ゴンザレス攻撃をかけたところでレフリーストップ。
TKOでアルセを下す。
人気者アルセも今回の敗戦で現役を退くことであろう。日本でジョニゴンの愛称で親しまれているゴンザレスも相変わらずの左フックの切れ味だが、打たれ弱さは以前に増してきたようで、詰め切れないもどかしさが残り、もっと攻撃力のある相手との対戦に懸念が残る。
会場 アメリカ コネッチカット州マシヤンタケット・フォックスウッズ・リゾート(2014年11月3日)
IBF Sフェザー級タイトルマッチ チャンピオン ランセス・ バルテルミー(キューバ)28歳、戦跡21戦20勝12KO 1無効試合。挑戦者フェルナンド・サウセド(アルゼンチン)32歳、戦跡60戦52勝8KO 5敗3分、IBF3位
1R バルテルミーはアップスタイル、L字ガードでフリッカージャブをくりだす。サウセドが懐に入ってくるところへ左フック顔面へ右ストレートをボディに打ち込む。
2R サウセドは2度目の世界挑戦、右フックが主戦武器。
3R以降バルテルミーは距離の違いを利用して右ストレートの打ち落とし、頭を下げて出るところへ、下からアッパーと寄せつけない。なおも出るところへ左右フックのボディ打ち。
5R 左フック顔面にヒット、サウセド、ダウン寸前、一方的な展開となり、12Rまで進み終了。判定は3者とも120:108でフルマーク。初防衛戦を飾った。キューバの選手に多くみられるマイペース型で倒せるのに追い込まないところが、今一つ人気がでない点であろう。負けない形の選手ではある。